利害の愛< 2 >
白いシーツの上にぼくの髪が広がっている。
それをするりとマスターの手が掬っていくのを眺めていた。
この人はあの日から、いかにも、としか言いようがないようなくらい、熱烈にぼくの全てが愛おしいという顔でぼくを見る。
今までの態度とあまりにかけ離れているので結構色んな人が困惑していたのは記憶に新しい。(一部はついに諦めたか!みたいなことを言っていたが。)
マスターが演技が得意だとは思っていなかったし、ここまでする価値がぼくの忠誠にあるとは思えなかった。
「どうした?」
自分の膝の上に座ったまま何事か考えているぼくの思考が気になったのか、ぼくの手を取りそれにすり、と頬を擦り寄せながらマスターが尋ねてくる。
「あ、いえ……ただ、こんなに甘やかされていて良いのだろうかと思って」
「いいんだよ。むしろ、お前は前より甘えなくなったな」
薄らと笑いながらマスターはぼくの頬を指の背で擽るように撫でる。
何を思っているのかわからないのは、むしろマスターの方だ。
ぼーっとマスターの綺麗な顔を見つめていると目が合う。
頬を擽っていた手が腰に回され、マスターは目を閉じぼくに顔を寄せた。
唇が触れ、離れ、そして角度を変えてまた触れる。
腰に回されていた手が離れ、肩に置かれるとそのまま優しく押し倒された。
ちゅ、ちゅ、と微かに音をさせながら首筋に唇が触れて身体が跳ねる。くすぐったい。
その間ずっと下腹部をマスターの手のひらが円を描くように撫でていて、何だか変な気分になりそうだった。
ゆっくり手が下の方へと動く。
擽ったさに似た感覚に身体が震えた。
脚の付け根に手が伸び、そこで止まる。
「……?」
「……ユイハ、下着をつけてないのは……まあ確かに手間は省けるが、まさか部屋に来るまでずっと」
「?おかしいんですか?いつもこうですが」
マスターは額に手を当てて何事か考え込んだ。
それから深くため息を着く。
何かぼくはおかしなことをしてしまったのだろうか?
「……ちゃんと着けるように」
「えー……」
「なぜそれは素直に従えないんだ……?」
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