第23話 昭和58年・ファミコン
絵本書いたりで、中断していたなぁー。昭和は長い、あともう少しだ!
時間が巻き戻せるなら、あの日だけには、戻して欲しい。そしてモノにはきちっとした名前を付けて欲しいと思うのだ。
長男がファミコンを買って欲しいと言ったのだ。「何に使うのだ?」と問うと、ゲームをするという。ゲームウオッチは子供らとしたことはあった。仕事で忙しかったけど、電気街に出かけていったのだ。
ファミコン、つまりファミリーコンピュータの略語ではないか。コンピュータと名がつく限りはキーボードだろう。これからはキーボードに慣れておく必要があると思ったのだ。そろばんの時代、電卓が出来て、子供時代からそれに慣れた若い連中の叩くスピードに、会社では圧倒されていたのだ。そんな思いもあってキーボードで操作する本格的ゲーム機の方にしたのだ(値段は3倍したと思う)。
子供は泣いた。友達が持っている同じもがいいと泣いた。ものが欲しいと泣いたことのない子が泣いた。わたしは妥協しなかった。帰り道もズーット泣きじゃくっていた。私は意地になっていた。
それから、しばらくして、子供部屋に入ったら、ファミコンで子供は友達と遊んでいた。私のキーボード付は無残におもちゃ箱に打ち捨てられていた。母親に言って買って貰ったのか、自分の小遣いを貯めて買ったのか、楽しく遊んでいた。
あんなに欲しがったのに、なぜ買ってやらなかったのか、悔やまれてならない。成人して、そのことを語ったが、息子は別段何も思っていなかったのか「そんなこともあったなぁー」とだけ語った。ファミコンなんて名前を付けなければ、ファミリーゲーム機とでも付けていてくれたらと・・、子供は何とも思っていなくても、私はその日を思い出しては、「懺悔の値打ちもない」思いに駆られるのだ。大人は自分の子供だった頃を忘れる!
断るまでもない注:
ファミリーコンピュータは、昭和58年(1983年)7月15日に任天堂より発売された家庭用ゲーム機。メーカー希望小売価格は14,800円。ゲーム&ウオッチの事業を成功させた任天堂が、その利益を投入して開発した家庭用ゲーム機である。1985年には『スーパーマリオブラザーズ』を発売。この作品は大ヒットとなり本体の販売にも大きく貢献し、家庭用ゲーム機の市場を大幅に拡大させ、花札やトランプの会社が大リーグの球団を持つまでになった。
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