第4話 昭和23年・コンドーム

昭和23年7月、優生保護法(後に問題となり、現在は母体保護法)が成立した。戦前とは逆に人口の増加をくい止めるため、国民優生法をもとにして、中絶を許す条件と避妊の指導をつけ加えた法律であった。この法律の成立によって潤った業界があった。コンドーム業界であった。

製品は戦前から生産されていたが、使用は主に性病予防を目的としたものであった。その宣伝・広告が公に許され、目的が産児制限に変わったのである。1948年から1949年にかけて販売数量が9倍、いや40倍になったと報告する業者もあった程である。不二ラテックス、オカモト、相模ゴム工業と名だたるメーカーはこの勃興期に大きくなっている。


戦前の大得意先は軍であった。オカモト(岡本理研ゴム)の製品には「ハート美人」、「突撃一番」、「鉄兜」というような名前が付けられ、これらはコンドームの代名詞ともなった。その後その製品開発は日本人ならではのきめの細やかさを発揮して今日に至っている。「スキンレス」という名品を生んでいる。ただしこれは余り外国では喜ばれないらしい。一時はエイズ効果があったが、安価な外国製品が開発され、輸出は減、また国内でも販売数は減じている。若年人口(性年齢人口)の減少や、ピルの解禁、疲労感によるセックス回数の減少、セックスレスがその因とされている。業界の先はあまり明るくないようである。


昭和22年出生数、2,678,792。平成26年1,003,539で人口減社会に日本は突入、出生率のアップが叫ばれている。企業よ、あまり長時間労働はやめ、家庭にゆとりをと云わざるを得ない。頑張れ若者よ!突撃一番である。

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