第5話

外が暗くなってきた頃、梓は綺麗なレースを基調とした青色のドレスを見にまとい

藤井に髪を結ってもらっていた。

「どう?藤井」

準備が終わり、くるっと回ってみせる梓。

「とてもお美しいです、お嬢様」

どこかに出かける時はこれがお決まりだった。

藤井は美へのこだわりもあり、少しでも乱れていると直さない限り外には出してもらえない。

「では、外に車を用意しています。参りましょう。」

会場はいつもと変わらない。

いつも通りに挨拶回りをして、ニコニコしていれば何とかなるだろう。

梓はそう思っていた。


「お嬢様、到着致しました。」

藤井に手を引かれ会場に入る。

顔ぶれはいつもと変わらない。

「柏原家の梓でございます。」

いつも通りに笑顔で挨拶をしていく。勿論、藤井も一緒に。


「…梓さん?」

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