第3話

朝食を食べ終わり、自室で少し休んでから梓は本がある部屋に向かった。

暇つぶしの方法は本を読むことだった。小さい頃なら藤井と遊んだりもしたが

今はお互いそんな年齢でもない。

読む本を選んでいると、ふと窓の外の光景が梓の目に入ってきた。

藤井が、毎日の日課である花に水をやっていた。

何がきっかけだったのかは分からないが藤井はある時から花を育て始めた。

その花は時が経つにつれて種類も数も増えていき、1人で育てるのは大変だと思う。

だが藤井は毎日毎日、笑顔で花の手入れをしている。

よっぽど花が好きなんだろう。

そのとき、梓は何かを思いついたかのように「あ、」と言った。

梓は部屋を出て外に出た

「藤井」

「あ、何かありましたか?お嬢様」

「私もやるわ、水やり」

小さい頃はよくやった。名前もわからない花に水をやるのが好きだった。

「いえ、お嬢様のお洋服や靴が汚れてしまいます。私の仕事ですので、」

「私がやりたいの」

わがままを言う梓を見て藤井は軽く笑った。

「分かりました。では、お願いします。」

昔に戻ったようで、梓も藤井も嬉しかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る