第2話
梓が洋服を着替え、少し髪を整えてから部屋を出ると、いつも通り藤井が食事の準備をしていた。
席に着くと、
「どうぞ。」
と朝食が並ぶ。
「ありがとう。頂くわ。」
藤井は料理は勿論、掃除や梓の身の回りの世話を全て1人でこなしている。
「お嬢様、今夜はお食事会がございます。旦那様が代わりに出席してほしいと。」
「わかったわ。準備には付き合ってちょうだい。」
「かしこまりました。」
食事会、というよりも顔見せパーティーと言った方が正しいのかもしれない。
定期的に開かれるそのパーティーにはあらゆる財閥が集まる。他の財閥との交流も大事なため、必ず出席している。
最近は梓が出席することが増えた。
「夜まではゆっくりして下さってかまいません。」
梓はこの言葉があまり好きではなかった。
ゆっくり、と言われてもこの家には本ぐらいしかないからだ。また同じ本を読む羽目になる…
梓はため息をついた。
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