祈り花

しらほし

第1話

これは、ある時代の少し離れたところでのお話。


「おはようございます、お嬢様。」

丁寧にお辞儀をする執事、藤井。

「おはよ、」

そしてベッドで眠そうに目を擦るお嬢様、柏原梓。


この2人は一緒に暮らしている。

梓の両親は常に海外を行き来しているため、あまり家にはいない。

喜びも、悲しみも、幼少期から共にしてきた2人。

男女がずっと一緒にいれば恋心が芽生えることは自然なことだ。

だが、結ばれることは決してない。いや、結ばれてはならない。


なぜなら柏原家に伝わる掟があるからである。

それは

「お嬢様と執事が結ばれてはならない。」

というもの。

掟を破れば二度と柏原家の門をくぐることは許されない。


互いの想いがバレないために、今日も2人は嘘をつく。

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