作者つぶやき・リアル感&儀式の描写、ダイナミック禊―第二章まで

 今回は、本作品を執筆する際に気をつけたことについて語ります。


 リアル感。つまり、現実的な描写のことですね。本作品はファンタジーですが、本当のこととして感じられるように描写を心がけています。

 例えば、第一章でミササギは、城壁の上に転移をしたあと、地面に降りるためにもう一度転移の魔法を使用します。

 この流れ、城壁から直接飛び降りた方がおそらくカッコいいです。というか絶対カッコいいです。

 ですが、ミササギは魔法使いではありますが、身体的能力は普通の人と大差はないと考えています。そうすると、飛び降りたらおそらく大怪我をするでしょう。

 そのため、ここではわざわざ転移の魔法を唱えて地面に降りています。こういうのが「リアル感」なのかなと考えています。森のシーンも木の上から、転移の魔法を使って降りていますね。

 怪我した描写も、手袋に入り込んだ血が生ぬるく感じると書くことでリアル感を出せたかなと思います。



 そして、物語の序盤、表現にこだわったのは、『御魂送りの儀』のシーンです。

 ここは、物語の舞台であるアウローラ新王国の伝統的な儀式のシーンであり、儀式の設定上、ファンタジーの雰囲気を全面に出せる部分です。とにかく幻想的な光景を書けるように頑張りました。

 実はこの部分、プロットでは詳細に書いておらず、その場で考えながら書きました。ミササギはどんな言葉を言うのか、それで何が起こるのか。結果として、良いシーンにできたかなと思います。

 さて、この『御魂送りの儀』のシーン、困ったことが書いているときに起きました。


 死者の魂を送る儀式。死者の魂で行う儀式。

 ということは、体を清める儀式がいるのでは、と書いているときに思ったのです。

 つまり禊ですね。

 要らないか、いや、でもこれは王国の儀式……。要るに違いない。

 でも普通の禊(作者イメージ的に水の中に入る)を描写する隙間はないような気がする。でも入れたい。しかもどうせなら、普通の禊っぽくないものにしたい。


 ではどうしたのか。本編読んだ方はわかるかと思いますが――



参考:本編「御魂送りの儀」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054891834157/episodes/1177354054891834412



 降らせたわけですね、水を上から。文章中では、水のカーテンと書いています。

 これなら、儀式の流れの中で描写できますし、なんだかファンタジーっぽい雰囲気が出ている気がします。

 ちなみに、私はこれをダイナミック禊と呼んでいます。禊用の水が上から降ってくるので。罰当たりな呼び方ですね……。


 でも、このダイナミック禊のおかげで、スムーズに、儀式の描写を進められたと思うのです。

 こういう風に、この作者つぶやきは本編がシリアスなので、ちょっとゆるーい感じで書けたらなと思っています。今回はこれにて。

 読んで下さりありがとうございました!

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