次の記憶は病院のベッドだった。あまり好きじゃない白い空間。

 僕は、生きていた。

 一応、順調に回復した。お見舞いに学校の先生が来た。友達も来た。そこで先生や友達は泣いていた。僕はまだほとんど何も知らされていなかったから、どうして泣いているのかわからなかった。僕は順調に回復していたのに。

 先生が二回目のお見舞いに来た時、僕はずっと気になっていたことを訊いた。

 「美知代とか、修一とかは、大丈夫なんですか?」

 それは、いずれ分かることだとは知っていた。でも、早く知りたかった。

 「人のことは考えなくていい。大丈夫、とにかく、今は自分の体を良くすること」

 先生はそう言って、病室を去って行った。でも、無事に退院して、学校に行った時に何もかもがわかった。

 僕だけだったんだ。

 町に遊びに行った僕らの中で、生き残ったのは僕だけだった。

 その時、泣いた。この時、初めて、死を知ったと思う。幼稚園児の時に、友達がトラックに轢かれた事故があったけれど、あの時は、こんな気持ちにはならなかった。少し大人になって、「悲しい」が分かるようになったのかもしれない、そう思った。

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