人生に金は必要か

カネの世の中

 ある日、私は悟ってしまった。

たとえ1億人がデモを起こしても、

滅亡しないことを。


 私たちは産まれた時、その瞬間の前から

金を使っている。


 産まれるために必要な金、服を買うために必要な金、食べるために必要な金、寝るために必要な金、遊ぶために必要な金、勉強するために必要な金、誰かと繋がるために必要な金。何をするにも金が必要だ。


 特に行動を起こさず、ジッとしていても

金は消費されていく。


 私たちはこの世に存在した時からカネと

繋がるのだ。


 この世に産まれ、金を浪費し、大人になり、金を得るために働き出す。


 誰から指示されたわけでも、教え込まれたわけでもない。

ただ、そうしなければならないと漠然とした知識とイメージが頭の中にこびりついている。


 間違いなく私たちは、世に生まれた使命の

1つとして【カネを稼ぐ】が植え付けられているのだ。


 そこまでして、金を稼ぐ必要があるのか?

そう考えるなら、君はまだ子供なのだろう。

大人として生きるならば、金は必要なのだから。


 母も言っていた。


「人生の悩みの9割はカネで解決する。」


 まさに、その通りだと思う。


 離婚や汚職や殺人、保育所問題、世間を

騒がせるニュースのほとんどの原因は金だ。


 これらの事件を無くすためには、

貨幣制度を撤廃し、昔の時代のような

物々交換を採用すれば良いのだろう。

だが、誰もその提案には首を縦に振らないだろう。


 それほどまでにカネは根深く、人の世の

発展に貢献してきた。


 あなたは、人類の最大の発明は?と聞かれたら何と答えるのだろうか。

科学者なら飛行機と答えるかもしれない、

哲学者なら人の考え方だと言い張るかもしれない。

それぞれ違い、それぞれ正解でもない。


 だけど私は自信を持ってカネだと答えるだろう。


 金はモノの価値の尺度を表すために生まれた。これにより人々の買い物や交易は円滑に進むようになり、金が商いの根底であり原点だ。


 だが、カネの生んだ功績はそれだけでは無い。それまでにカネは

のだ。


 誰も立ち止まらない路上シンガーの歌。

それがある日、誰かが立ち止まり安っぽい

ギターケースに1万円を入れる。


 その時、その瞬間から、その歌は1万円のモノとしての価値を持つ。


 「金のためにしているわけではない!」

世のアーティストや芸術家の中にはそういう人もいるだろう。


 だが、想像してほしい。


 あなたの絵、あなたの歌、あなたの努力を

多くの人に見てもらうとする。

その人たちは十人十色、それぞれ違う感想を持つ。


 だが、誰1人として、あなたの作品の本当の価値は分からない。


 何故か?

それは価値の尺度は人によって異なるからだ。


 喫煙者と非喫煙者にとってタバコの価値は天と地ほど違う。


 千差万別、多くの人がいる世の中で、

それぞれの人が共通とし、平等に価値を測ることができる価値観は1つしかない。


 それがカネだ。


 自分の作り出す作品の価値が適正に測れない、金の無い世の中を望む芸術家やクリエイターは少ない。


 それは誰でも、人より優れている事を

カネで表したいのだから。


 つまりカネが産業や文化を発展させ、

人が持つ技術や個性が仕事として成り立ち、カネが人のを生み出したのだ。


 だから金は人の欲を刺激し、人の欲を満たし、人を狂わせる。


 神様がいるならば次に世界を作る時には

是非ともカネは作らないようにしていただきたい。


 もうこれ以上私たちは金に縛られ、金に踊らされるのはゴメンこうむりたい。


 世に出てしまえばカネは広まり、

誰もそのしがらみからは逃げれられない。


 そう、

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人生に金は必要か @tanajun

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