ラヴレター

今日、彼が病院のベッドで死にました。

彼の運転するバイクに

大型トラックが追突したみたいです。

彼の体は所々が離れており

見るに堪えない様子でした。

救急車で大学病院に運ばれるも

その時には脳も心臓も死んでいました。

彼には家族がいません。

彼の家族も交通事故で無くしています。

GWの旅行の帰り道に煽り運転に会い

彼以外の家族は死んでしまいました。

あの時に煽り運転が

刑罰の対象となっていれば

犯人が捕まっていたと思うと

なんとも言う言葉が見つかりません。

私は彼の遺体を引き取りました。

もう一度彼に1つになってもらいたい。

そう思い皮膚を複合することにしました。

彼を実験室の机に寝転がらせました。

吐きそうな血の匂いでしたが

大好きな彼なので我慢しました。

アルコール綿で彼の体を綺麗にして

爪の中や皮膚の中に入り込んだ

土や石を取り除きました。

彼の皮膚を手術糸でチクチクと

塗っていった。彼は痛がることも無く

ただ黙っていた。

話さない、そう分かっているから

彼の無駄毛1本でさえ愛おしい。

私は彼の口にキスをした。

カラカラに乾いた彼の口に

私の愛に溢れた唾液を入れた。

こんなことになるのならば

昨日、セックスを拒まなければ良かった。


彼をホルマリンに漬けた。

ガラスの容器越しに

またキスをした。

そして彼女は湿らせていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る