休職

私は旧石器時代に

タイムスリップしたらしい。


私のスマホも鞄の中に入っていた

パソコンも使い物にならない。

久々の休みだ。

仕事のことは何一つ考えなくても良い。


旧石器時代は狩りが基本。

猪、雉、鹿、熊

現代で言うジビエを食す。

これがまた旨い。

野生の匂いが堪らない。

現代であれば獣臭いと言って

食べなかったであろう。

今ではその匂いが

生と死を強く意識させる。


旧石器時代には電気がない。

暗くなったら眠り

明るくなれば起きる。

久々に熟睡をした。

時間というものがなければ

こんなにもゆったり出来るのか

スマホの時計は5:10で止まったまま

現代は機械的な生活をしていた。

機械的な生活のことを文化的な生活

そういうのである。


旧石器時代には恥がない。

最初は着ていたスーツはいつの間にか

無くなっていた。

現代であれば公然わいせつ罪で捕まるので

あろうが、ここは旧石器時代。

そういった道徳的なものは無い。

ただ生きる。

それだけなのだ。

本能とは何なのだろうか。

ふとそう考える。

刷り込まれた思考。

種の保存。

難しいことを考えれば考えるほど

頭が痛くなる。


旧石器時代に愛がない。

男女のつながりは

やがて新しい生命を生んだ。

それは現代人の祖先だ。

しかし、旧石器時代は

本能のままに生きている。

繋がった男女の間に愛は無いだろう。

しかし、愛のない繋がりは

やがて、私たちを作った。

では、愛とはなんなのだろうか。

互いの欲求を満たす存在。

自分と異なる一面を持つ存在。

誰に対し愛を覚えたのだろうか。



旧石器時代には人がいた。

それも私たちによく似た。

私たちはこの200万年で

理想を現実にする力を得た。

その分、格差が生まれた。

旧石器時代には格差はなかった。

ただその日に生きることへ

一生懸命で。

今はどう生きるかが大切なのだ。

お金を儲けて大きい家に住む。

たくさんの友達と遊ぶ。

絵を描いて職にする。

様々な夢が混在する現代は

難しい世界なのかもしれない。


もう少しだけ難しい世界で

頑張ってみようか。

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