第9話 スキップする鷲尾



同僚は、最近の鷲尾の様子に、わずかながら心を痛めていた。




鷲尾めっちゃ凹んでるし、流石に悪ノリが過ぎたって部長からもフォロー頼まれたし、どう励ましたものか・・・




ん、鷲尾、出社か・・・




昨日遅かったのに、全然疲れた顔してないな・・・むしろ・・・足取り軽やかというか・・・いや・・・あれ、スキップしてない?



「鷲尾、鷲尾」

「おお、おはよう、良い朝だな」



は?



なんだこの爽やかな顔

昨日の、今にも死にそうな顔とのギャップが酷い。


「なぁ鷲尾、なんか良い事あったのか?」




「は?良い事なんて、ある訳ないだろw」




何その照れ顔・・・

昨日の深夜残業から、一体何があったらそんなにご機嫌になれるんだよ?




「絶対なんかあったろ」




「や め ろ よ 何にも無いって」

そう言いながら足速に立ち去る鷲尾・・・その足取りは・・・


「ほら!今!スキップした!絶対した」


「してないって」


今日一日中、その気持ち悪いニヤけ顔は続いた。



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