第8話 先にシャワー浴びてこいよ



「バスタオル、ここに置いとくから」




そう風呂場の扉越しに言うと「ありがと-」という声が返ってきた。


静かな室内、響くシャワーの音・・・今この水滴が美林の凹凸の多い体を伝って流れて・・・



だぁ-!俺は変態か、変に意識するな




「どうしたの?」いつの間にか風呂から上がっていた美林は訝しそうな視線を鷲尾に向ける。

「・・・いや何でも無い」



誤魔化すようにコップにお茶を注いで美林に差し出す。

バスタオルで髪を拭きながら申し訳なさそうにそれを飲む美林


なんとなく、さっきから顔をしきりに隠そうとしているように感じる。


「どうしたんだ?」



俺が尋ねると恥ずかしそうにボソリと呟く。



「いや・・・今私すっぴんだし」



鷲尾は数テンポ疑問符が頭に浮かんでいたがハッと気づく。



「は?全然大丈夫だろ!むしろ全然昔と変わってないし!」



そんな言葉に美林は微妙な表情を浮かべながら、「どうも」と言って恥ずかしそうにうつむく。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る