第6話 その要求は到底受け入れられない、なぜならば




「今夜泊めてくれない?」





「・・・」




あーこれね、


よくある奴

遅くまで残業すると、よくある、よくある




「幻覚か・・・」




ちょっと!?



「幻覚じゃないよ、私、ココ、居る」





・・・





改めて、

半眼落ちかけているまぶたをよーく開いて見る。



真っ黒で吸い込まれそうな眼

真面目そうな可愛い顔

真っすぐな髪

今は少し明るい色に染めているが、毛先の具合は当時のまま


少し背は低いが

スタイルだって抜群に良い




女神・・・




やっぱ幻覚なんじゃ・・・

と思い直しそうになる所をぐっと堪える。

間違いなく女神がここに実在しているのだ。




「美林・・・か」




「そうだよ?」





・・・





鷲尾は深く息をついて

一考する。




しばらくの沈黙の後、諭すように美林に話しかける。




最近話題の小説で「髭が生える、または、女子高生と住む」という作品がある。

(そういうの読んでるんだ)



疲れたサラリーマンがある日家出した女子高生を

自分の部屋に住まわせる話なんだが




「で?」




「あれ、普通に犯罪だからな」


未成年は同意があっても犯罪なんだ、

俺は社会人として会社に迷惑かけるわけにいかない!




・・・




「つまりそういうことだ」



「待って、つまりどういう事?」




・・・




「えーっと私はもう成人してるんだけど」

(鷲尾君の中では高校生のままで止まっているのかもしれないけど)




廊下での会話は続く。




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