5
「ハァー。
さてこんな娘と勇者でこの国はどうなる事やら。
俺の娘は一体何がしたいのやら...。」
そう言いユリウスはため息ついてうなだれていた。
机に突っ伏し、先程の威厳のある王の顔ではなく疲れた表情だった。
そして親の顔でもある。
娘を思ってはいるのだろう。
いくら娘がなんと言おうと、親である事には変わりない。
それでも執務に追われる王は、妻が亡くなり娘に愛情を注ぐ人がいない事を思っているが、行動に出れなかった事を悔やんでいるのかもしれない。
「ユリウス様...。
お身体の調子が悪いのならばお休みになられたほうが...。」
ため息が聞こえた瞬間にユリウスをパッと見たのは、灰色に少し青みがかった髪と瞳をしている男だった。男前な黒い騎士の軍服を着ているそこそこ長身な男だ。
そして心配そうな顔をしている。
「ん?
ああ。
ウェンリー大丈夫だ。
......。
あの子が小さい頃に私の妻は死んで俺はあの子の事がよく分からないんだ。
俺は父親として間違いを犯したのだろうか...。
.......。
ハァ、考えても仕方ないか。仕事仕事。
心配してくれてありがとう。」
そう言いさっきの表情が嘘のように爽やかに微笑んだ。
灰色に青みがかった髪と瞳の黒い騎士の軍服を着ている彼はどうやらウェンリーという名らしい。
具合悪くなったら休んでくださいねと言いたげな表情を返した。
そしてユリウスはその表情を見てフッと笑みをこぼしもう一度ありがとうとお礼をいい、仕事をし始めたため静かな部屋にペンが紙の上を走る音だけとなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます