7
その日、棗は猫と一緒に寝た。
次の日の朝、起きて、学校に行く準備をしてから、猫と一緒にリビングに向かうと、そこには母の姿があった。母はスーツ姿だ。これからすぐに仕事に向かうわけだけど、母はいつものように早起きをして、二人の朝ごはんの用意をしてくれていた。テーブルの上には二人分のトーストとサラダ、それにハムエッグが置いてあった。棗はそれらを眺めながら、淹れてあったコーヒーを自分のカップの中に注ぎ、それを持って椅子に座った。
「じゃあ、私、仕事行ってくるから、柚のことよろしくね」母は言う。棗は母に「わかった」と答えた。母は笑い、リビングから出て行った。
リビングを出て行くときに、母は棗の腕の中にいる猫の頭を一度だけ撫でて行った。
そのあと、棗が猫を腕に抱きながらのんびりと朝の時間を楽しんでいると、しばらくしてどたどたという足音が二階から聞こえてきた。そしてすぐにドアを開けて柚が現れる。
「おはよう、お兄ちゃん」と柚が言った。
棗も柚に「おはよう」と言う。
「お母さん、もう出かけちゃった?」柚は自分の分のコーヒーを用意して棗の向かいの椅子に座ると、棗の抱いている猫を見ながらそう言った。棗は柚に「もう出かけたよ」と言う。それを聞いて柚は「……そうなんだ」と寂しそうな声で、つぶやいた。
柚は学校の初等部の制服姿だった。もちろん棗も学校の中等部の制服を着ていた。なぜなら僕たちは、これからそれぞれの学校に行かなくてはいけないからだ。
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