第5話

ぴんぽーん

午後7時半。家に戻ってきた雪達にふいにインターホンが鳴らされる。

「はい。どちらさまでしょうか。」

玄関の扉にはキーチェーンをつけ、用心深く聞く。そこには雪達と同い年くらいの男子5人がいた。

「あれ、敬太は?」

「どちらさまでしょうか。」

警戒心が強い雪は頑なにドアを開けようとしない。男子達は自分達のバッグを漁り、その中からカードケースに入った生徒証を見せてきた。

桜橋第一高校さくらばしだいいちこうこう二年白水康太にねんはくすいこうた

二年前川大知にねんまえかわたいち

二年古宮流星にねんふるみやりゅうせい

二年中道咲人にねんなかみちさくと

一年中道白人いちねんなかみちはくと

男子達が見せた生徒証は確かに雪達と同じ学校だった。「ちょっと待ってて」と言って部屋にいる敬太を呼びに行く。

「敬太。友達来てるよ」

それだけ言ってすぐに自室に引きこもる。雪は人見知りな傾向にあるからしょうがない、と敬太はそのまま玄関に向かう。

「おー!敬太ー!」

「白水さん!お久しぶりです!どうされました?」

「いやぁ今日一緒に配信しようって言ってたじゃんwだからきたんだよw」

「あ、そうでしたね!!どうぞ入ってくださーい!」

5人をリビングに連れていって携帯をセットする。

「そういや、さっきの子だれ?敬太の家に女の子いなかったよね?」

「あ、親が再婚したんでそれで同い年の妹ができたんすよ。」

「あの子ってたしかC組の委員長じゃなかった?」

「そうそう!よんでこようか?雪も配信してたんだよ。」

「ほんと!?呼んで呼んで!」

5人の後押しがあり、敬太は雪の部屋をノックする。「んー」っとぶっきらぼうな返答があったので、入ると雪はもう寝ようとしていた。

「なに?もうねるけど?」

明らかに不機嫌だが配信に参加しないかどうか聞いてみる。すると血相が変わった。

「あんた...あの5人に配信してたこと言っちゃったの!?」

「言ったけど...悪かった?」

「悪かったじゃない!隠してたのに!!」

ふて寝しようとベッドに潜り込むが敬太も負けずに勧誘する。

「配信しようよ!もう一回みゃーち始めようよ!!」

「大丈夫だって!マスクしたら誰かわかんないし!!」

「みゃーち復活とか皆楽しみにしてるんだよ!!」

1時間弱くらい経っただろうか。ようやく雪が折れてリビングに向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

私が有名配信者であることは誰も知らない 漣優 @sazanamiyuu1124

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ