第4話

オンボロな一軒家。こじんまりしていて視界にも入りづらいくらいだ。そう。ここが雪の元の家なのだ。

「雪の家もっと綺麗じゃなかったか?」

小さい頃に一度敬太は雪の家に来たことがある。その時は綺麗なマンションだったからイメージと違ったのだろう。不信感を募らせながら敬太は家に入った。

もう家の家財はほとんど取り出されており、家の中はすっからかんだった。雪はそのままずんずん進み、家の一番奥。寝室だったと思われる所の床下収納の扉を開けた。

そこにはロープが垂らされており、ずっと奥まで続いている。先は真っ暗で見えない。

「敬太。この中入るよ。」

「は⁉︎こんな真っ暗なとこ入ってなにがあるんだよ。」

わけがわからない、という感じで手を広げ首を横にふる。

「私の編集場所。見ないの?」

「…」

「じゃあ先行くからついてきてよ」

そういうと雪はそのままするするとロープを降りていく。敬太は帰ろうと一旦外に出てみるがそこは見知らぬ土地。どこへ行けば良いのかわからなくなっていたのでしょうがなく雪の後に続いた。

敬太が地下に着くと広めの地下室があった。何個か部屋があり、その中の一つから雪が出てきた。

「遅いよ。こっち来て。こっちが編集場所。」

一番奥の部屋に案内される。そこはネットカフェの部屋二つ分くらいの小さな部屋で、クッションが床に敷き詰められていた。机があり、その上にノートパソコンやピアノの様なもの、四角い箱のようなものなどが沢山置いてあった。

「これ…どうしたんだよ。」

「自分で買った。お年玉貯めたりしてね。」

「でもまだ雪がみゃーち様っていう証拠ではないよな?」

雪は一つため息をつくと「こっち」と言って別の部屋に案内する。一つ手前の部屋で、さっきの部屋より少し小さい。そこにはカラオケを連想させるマイクやスピーカーがあった。

「雪。ここは?」

「歌ってみたする時にここで歌うの。」

「他には?あと一つ部屋あるだろ?」

「そこはVOCALOID《ボーカロイド》作る部屋。」

覗いてみると沢山のコードと機材が積み重なっていて、あまり使われていないようだ。

「これでわかったでしょ。私がみゃーちって事。」

そう言うと、敬太は頷いて

「そうだな。疑って悪かったよ。みゃーち様がこんな近くにいたとはなw」

と冗談っぽく笑った。

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