2019.7.28
私は医者になろうと思い立った。高校の卒業式の事だった。
医者と言っても医師免許を持つ医者では無い。『ブラック・ジャック』になろうとしたのだった。
私は知っている。本当は皆があのような医者を渇望している事を。
帰宅し母に話した所、「私もなる」との事で、「メンバーを集める」と言う話になった。
集まったのは私と母を含めて4人。頭の悪い私の同級生と、矢張り頭の悪い母の知り合いだった。
近所の開業医の所を拠点にして、勉強会をしようと言う話になった。
通り道で懇意にしている花屋があったので、お土産に花を持って行こう、と話して植わった花を根元から丁寧に手折った。
5本手折ると、会計に進む。1本5円で、30円を支払って釣りは要らない、と断った。
花屋の隅に置いてあったゲームの筐体をちらりと見て、嫌な予感がした。
例の母の知り合いがやって来て、「医者になる練習にドクターマリオをしよう。1人3点だ」と言い出した。矢張り馬鹿だな、と私は思った。
付き合い切れない、とトイレに行く時に、同級生に、「私は誰が相手でも3点にする」と伝えた。勝てる自信はあった。
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