2019.7.21

 私は超能力者の少年になっていた。華奢な体躯で前髪が鬱陶しい程伸びた中性的な少年である。

 同じく超能力を使える少年少女達が集められた育成機関があった。少年少女達は詰襟学生服とセーラー服に身を包んでいた。

 何をするかと言うと、ベルトコンベアの上を並んで滑って来るものを念じて消すだけである。皆、最初はサーモンと焼き鮭を消していた。その二つは量が多いからである。

 その内、先輩らしき短髪の少年が手を叩いて皆を呼び集めた。

「皆、聞いてくれ。『制服』『軍服』『潜水服』の三つは決まった人しか消せない特殊なものだ。なので、適性を測ろうと思う」

 そして、適性検査を受ける事になった。とは言え筆記試験である。心理テストの様な紙を配られて、素早く回答して適性を確認する。

 私は水の適性、癒しを司るものとなった。潜水服が消せる。他の少年少女から「お前に癒されたくないな」と囃し立てられた。

 適性テストが終われば、又もやベルトコンベアに戻る。私は潜水服を消そうとするが、コンベアの速度が速過ぎて中々消せない。仕方なくサーモンと焼き鮭を大量に消して行った。

 18時になった。管理人が「お疲れ様。帰って良し。残るものは残っても良い」と言うので、私は「残業手当はつくのか、22時以降は深夜割増賃金は出るのか」と問うた。管理人が首肯すると、「ならやります!」と私は元気良く答えた。

「元気だな。何時までやる?」

「ええと、日付が変わる頃に終バスが出るので、流石に23時頃までです」

 管理人は「分かった。休憩室を使え」と言ってくれた。

 私は休憩室を探しに廊下に出た。和室で寛いでいる少年少女達が窓越しに見えた。

 私は尿意を催し、トイレへと向かった。つい、女子トイレへと入ってしまって、拙い、と男子トイレへと向かった。

 便器に向かって立小便をする私の心は、酷く晴れやかだった。

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