2019.6.22

 富裕層の家族が居た。二組だ。

 お互い同士、仲が良く、子供達はお互いの家で遊んでいた。子供達は家の子は男と女の双子、遊びに来た子は一人っ子だった。

 家の中に子供服が吊るしてある。遊びに来た方の親が「新しいのを買ってやらないのか」と問うた。

「これからデパートに行って子供服を買おう」

 と言う話になった。

 遊びに来た方の親が、車に乗り込む。数分だろうか。人気の少ない煉瓦作りのデパートに辿り着いた。

 とあるブランドショップに着いた。子供服専門のブランドだ。親が「ここからここまで全部くれ」と店のものを指して言うと、二人しか居ないアパレル店員が「数億になりますが宜しいでしょうか?」と聞く。親は「確かにサイズが合わないと困る。130センチの子供服だけにしてくれ」と頼んだ。店員が大量にある服を慌てて包み始める。

 部屋の中央に展示されている靴があった。紅いベルベットの生地にルビーが散らばった赤い靴。子供に履かせてみせたい、と言い、子供が履くとぴったりと収まった。「これも買う」と言う。

 双子の親は同じデパートの美容室に来ていた。「これから貴方達を王子様とお姫様にしてあげる。イメージは苺よ」と言って、カットを頼んでいた。

 男の子は淡いラベンダー色のショートカット。女の子は黒髪のロングヘア。

 そこにアパレル店員がやってくる。

「小旅行中の貴族様ならば、そう仰って下さい。お連れ様がお待ちです」

 そう言って店員がヘアカットを終えた双子を連れて行くと、袋を店員に抱えさせた遊びに来た家族が居た。

「家に帰って着せてみよう。きっと似合う」

「何を言っているのかしら。うちの子には桁が一つ違うわ。もっと高いのじゃないと」

「しかし買ってしまった。これはバザーにでも出そうか。よく喜ばれて売れる」

「でも、靴は良いわね」

 子供が履いている紅い靴を褒めて、双子の親と遊びに来た親は家で手持ちの服を見ていた。バザーに出すものの選別と、今度はもっと高い服を買おうと話していた。

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