195鱗目:クラス替え、龍娘!

「ふーんっふっふーん♪」


「上機嫌だな鈴香。その……空中でループするくらいには」


 春特有の暖かな風が気持ちいいある日の朝、久しぶりの制服に身を包んだ僕は、上機嫌に空中で色んな動きをしていた。

 それもそのはず、なぜなら今日から僕は────


「鈴、上機嫌なのはいいけれどやめなさい。その辺の人にパンツ見られても知らないわよ」


「うっ、大人しくしまーす」


「まぁ気持ちは分かるけどね。なんてったって今日から2年生ですもの」


 高校2年生になったのだから!


 そう!高校2年生!これで僕も今日から先輩なのだ!

 つまりっ!周りから子供扱いされなくなる!先輩かっこいいとか言われちゃう!


「ノリノリな所悪いが鈴香、多分お前が考えてるような事にはならないと思うぜ」


「な、なんで!?じゃ、じゃなくて、別に何にも考えてないけど、なんでそう思うのさ」


「んまぁ百聞は一見にしかずって言うし、俺の考えが当たってるかどうか楽しみにしてるといい。それに、俺はそんな事よりもクラス替えの方が気になるしな」


「むぅ……!ってクラス替え?」


 なにそれ。


「おう。学年が変わると毎度クラス替えがあるだろう?もしかして知らないのか?」


「鈴、アンタが通ってた中学校にはクラス替え無かったの?」


「うん」


「そうかぁ……えっとな、クラス替えっていうのは学年が変わる事にクラスメイトを入れ替える行事だ」


「ふむふむ」


「それで仲のいい奴と離れたり、新しい奴と仲良くなれたり色々あるんだよ」


「なるほどー……ってえっ?!つまり僕が2人と別のクラスになるかもしれないってこと!?」


「まぁぶっちゃけるとそういう事だ」


「それはやだー!」


 隆次にそう言われ、僕はわがままだとわかっては居ながらも、そう地面に尻尾を叩きつけながら文句を言わずには居られなかった。


「わがまま言わないの鈴。でもその点は多分大丈夫じゃないかしら?」


「へ?」


「まぁ鈴香に関しては先生達も甘い……というかできるだけ鈴香にとっていいようになる様にしてる節があるからな。案外俺らだけじゃなくて龍清達も同じクラスになるかもな」


 そんな事を言う隆次を前に、そんな上手いこと行くのかなぁなんて僕は思っていたのだけれど……


「ほ、本当に一緒だった……しかもとらちゃん達も一緒のクラスだ……」


 学校に着き、張り出されていたクラス表には僕の名前のあるクラスに仲良しな4人の名前が確かにあったのだった。


「な?言っただろう?」


「まぁウチのクラス替えは9組あるけれど実質3組ずつだからね。でもよかったわね鈴」


「うんっ!」


「あ!すずやんおっはよーやでー!」


「あ!とらちゃん!僕達一緒のクラスだよー!」


「んなー!すずやんにネタバレされたぁー!」


「ふえっ」


「あんなぁすずやん。そういうのは自分の目で見るまで他の人からバラされたくないもんなんや。ええか?ネタバレ厳禁!はい!」


「ね、ねたばれげんきん!」


「よろしい。あ、りゅーくんも同じクラスだったでー」


「お前なぁ、人にはネタバレするな言っといて俺には容赦なくするのな。まぁいいけど。それより3人とも、今年1年よろしくな」


「ウチからもよろしゅうな!」


 とらちゃん達とそんな風に喜び合いながら今年1年もよろしくと挨拶を交わしていると、僕は遠目に目立つ金髪を見つける。


「うんっ。あっ!コスプレの人!」


「コスプレの人ではありませんわ!私の名前は────」


「貴女も僕達と同じクラスなの?」


「私は貴女と別のクラスでしてよ。それと、私の名前は────」


「そうなんだ、残念だなぁ。でも仲良くしてね!」


「鈴、そろそろ行かないと遅れるわよ」


「はーい!それじゃあね!」


「あっ、ちょっと!私の名前……んもう!」


 なんだか地団駄を踏んでるコスプレさんを後ろに、さーちゃんに呼ばれた僕は急いで新しいクラスへと走っていくのだった。

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