第130鱗目:バレた……龍娘
「ほーらかーくん餌だぞー、たんとおたべー」
よしよし、今日も美味しそうに食べてるね。元気そうでなによりだけど……必死に食べてるの可愛いなぁ。
「んー?なんだー?僕と遊びたいのかー?うりうりー」
「あら鈴、餌やりしてたの?」
「おー!かーくん夏祭りぶりに見た、元気そうにしとるやん」
「うん、かーくん可愛いでしょー」
昼食後僕達は暫くの間各々自由に過ごそうと言う事になり、僕は庭の池で飼っているお祭りで取ってきた亀のかーくんの餌やりをしていた。
「ほーらかーくん涼しいかー?今日は甲羅干しにはぴったりないい天気だからねー、熱中症にならないようにするんだぞー」
「なんだかあれやね、なんか凄いしっくりくるというか、ほんわかするというか」
「それは分かるわ、鈴と小さい動物があーやってるのを見るとほわわーってなるのよねー」
その謎のしっくり感はきっとかーくんが可愛いからに違いない、それにしても本当にかーくんは可愛いなぁー……
「もしかしてすずやんって動物の言葉が解ったり?」
「いやいや、流石にわかんないよ。でもそうだなぁ……どんな気分かはなんとなーく分からなくもない…………かな?」
「へー、それまたなんとファンタジーなって言いたいけど……鈴自体がファンタジーみたいなものだし、鈴自身なんか意外な事ができるわよね」
僕はさーちゃんにそう言われアハハハハと苦い笑顔を浮かべつつ、餌のササミをはむはむしているかーくんをじーっと見つめる。
するとなんだか幸せそうな、ほわほわーっとした雰囲気を僕はかーくんから感じ、僕までほわほわーっとした気持ちになる。
「かーくんがカラスに食べられたり行方不明にならないように気をつけなきゃね」
「ねー、一応かーくんの住処の所にネット貼ってるけど気をつけなきゃ」
池全部を自由に泳げるようになるにはもうちょっと大きくならないとね。
「そういやすずやん、そのお箸って最初のお弁当の時に使ってたガラスのお箸?」
「ん?あぁこれかー、そうだよー。わざわざ買ったお箸汚すのもアレだし、かーくんに餌あげる時にいつも作ってるんだー」
「あっ、鈴それは──────」
水晶作る練習にもなるしねー。
「へー、いいねかーくん専用のお箸作って貰えてー…………ん?作る?」
「あっ」
にまーっとした顔でかーくんの甘噛みを堪能していた僕は、とらちゃんが言葉に引っかかった所でやってしまったといわんばかりにピキッと表情を固まらせてしまう。
「そういやすずやんの家の食器もやけにガラス製品多かったし………それによーよく見ればすずやんの翼爪とか角と質感も似てる……………」
まっ、まずった!これはやってしまった!ど、どうしよう……今からなんとか誤魔化しを─────
「もしかして……すずやんが全部作り出したん?」
誤魔化せなーい!
僕は真剣な目付きでとらちゃんにそう聞かれて冷や汗をダラダラ流しながら、チラッとさーちゃんに目配せする。
するとさーちゃんは諦めろと言わんばかりに首を横へと振り、それを見た僕はやってしまった、もう隠せないと肩をがくりと落とし、とらちゃんとむーさんに僕が水晶を作る所を実演する事になったのだった。
もちろん、とても驚かれたのは言うまでもあるまい。
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