第129鱗目:ゲーム!龍娘!

「それじゃあねぇ……」


 不安だなぁ…………


「最低でも常識とか倫理的なものは守ったまともなのにしろよ?」


「もちろんや!というわけで3番が2番に1分間こちょこちょ!さぁ誰が2番と3番かなー?」


「僕1番ー」


「鈴が1番でアタシが4番だから……」


「ということは1分間の間、3番の俺が隆継をこちょこちょするのか」


「なるほどなぁー……って誰得だよっ!やるなら鈴香とサナでやるのがお決まりだろ!?」


 とりあえずそんなお決まりは滅んでしまえ。


 ビシッとそう隆継がツッコんだ意味もなく、隆継は1分間の間むーさんにこちょこちょされたのだった。


「いやぁー、最高に面白かったで!」


「うんうん!あんな隆継まず見れないもん!」


「本当、凄く面白い物を見せて貰ったわ」


「「いっそ殺してくれ…………」」


 笑顔でそういう僕達の前で、こちょこちょし合っていた男2人はガクリと床に手を付き、頭をタレ下げてそう言うのだった。

 何故そんな事になっているのかと言うと、僕達は宿題を終えた後とらちゃんが提案してきた王様ゲームとやらをやってみる事になり……


「こうなってるって訳だね」


「ん?すずやんどうかしたん?」


「んーん、なんでもないよ」


「そか、それじゃあ次行ってみよーう!」


「「おー!」」


「お前ら他人事だと思いやがって…………」


 だって他人事だもーん。

 さてさて、今回は何が出るかなーっと。


「せーのっ」


「「「「「王様だーれだっ!」」」」」


 掛け声に合わせてそう言いながらとらちゃんの持った棒を引き抜いた僕達は、自分の引いた棒が王様を示す先が赤色に塗られた棒かどうかを確認する。

 そして棒に赤色があったのは────────


「俺だ!いよっしゃあ!」


 おぉー、隆継が王様か。

 くじ運がない隆継にしては珍しい、ここで今年の運を使い切ってないといいんだけど。


「うげっ、たかくんかぁ」


「うげってなんだよ、うげって……それと鈴香もなんか失礼な事考えてないか?」


「ソンナコトナイヨ」


「とりあえずどんな命令出すんだ?お前も虎白レベルでバカやらかすから微妙に怖いんだが」


「さりげなく酷いな龍清………そうだなぁ…それじゃあ次のお題が終わるまで1番が3番に抱きつくで」


 そんな隆継の命令を聞き、皆が手元の棒へと目を落とす。


「あー……ウチ2番やったー」


 なんだかとらちゃん少し残念そう?


 とらちゃんの声のトーンにそんな事を思いつつ、僕も持っている棒へと目を落とすと、その棒に書いてあった番号は────────


「アタシが1番ね、んで虎白ちゃんが2だからー……」


「………………僕…………です……3番……………うぅぅ…」


「あらあら♪それじゃあ鈴、命令、だからね?」


「うぅぅぅ…………!恨むぞ隆継ぅ……!」


 よりにもよってさーちゃんに抱きつかれる事になるなんてぇ……!


「はっはっはっ、これは王様ゲームという名のクジだからな。仕方ない仕方ない」


 僕がそう言うと隆継はニヤニヤとした顔でそう言いいながら、早くやれとでも言うように手をぱちぱちと叩いてくる。


「さて、それじゃあゆっくり進めましょっ♪」


「うぅぅぅ……むずむずするぅ…………」


「抱きつくの尻尾なんやね……」


「尻尾なんだな……」


 うん、分かってた。どうせ抱きついてくるのは尻尾だと思ってた、うん。というか本当にむずむずするから勘弁して欲しいっ!


「ははは、とりあえずもうそろそろお昼だしかれこれ1時間くらいこれやってるから、次で最後にしようか」


「やね」「だな」


「えー」


「さーちゃんは黙ってて」


 尻尾に抱きついているさーちゃんと尻尾に抱きつかれてる僕を見てむーさんがそう言うと、それにとらちゃんと隆継が賛成したかのように頷く。

 そして──────────


「「「「「王様だーれだっ!」」」」」


「僕だ!」


 やったぁ!最後の最後で王様なれた!


「お、鈴香が最後の王様か」


「さてどんな命令が来るのかしら」


「地味にすずやん王様初めてやからどんな命令でもいいでー!」


「さ、天霧さん遠慮なく言ってね」


「それじゃあねぇ……」


 皆にそう言われ、僕は一瞬何をするか考えた後……


「また皆でお泊まりしようね!」


 僕はそう言ったのだった。

 この後「それはもちろん」と言われ改めて命令する事になった僕が、少し顔を赤くしながら皆にマッサージをお願いしたのはまた別のお話。

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