第131鱗目:そっちと一緒に!?龍娘!
どうして……どうしてこうなったのだろう…………僕は何か選択を誤ったのだろうか、いやアレはそもそも選択すらさせて貰えなかった。
本当に、本当にどうしてこうなったのだろう……
「すずやんどうかしたん?」
「いっいや!なんでもないよ!うん、なんでもない、うん……」
そんな事を考えていた僕は後ろからとらちゃんに声をかけられ、尻尾をピンと立ててしまう程ビクッとしながらもなんとかそう答える。
「それじゃあすずやん、翼と尻尾洗い始めるでー」
「う、うん……オネガイシマス」
「せっかくのお風呂なのにすずやんそう固くならんでやー、確かに隠してた罰って言ったけどウチがすずやんの翼とか洗って見たかっただけなんやからー」
固くなってる理由はそれじゃないんだけどね!
時々翼に当たる柔らかい感触に顔を赤くしながら、僕はとらちゃんを翼や尻尾で叩いてしまわないようにそちらに集中することで気を紛らわさせていた。
そう、何故僕が今とらちゃんと一緒にお風呂に入って居るのかというと、それは数時間前に遡る。
ーーーーーーーーーー
「そんな凄い能力ウチらに隠してたなんて、すずやん酷いわー、ウチら傷ついたわー。なーりゅーくん」
「いや俺は驚きはしたが別に──────」
「りゅーくんもこう言ってる事やし、やっぱりすずやんには隠してた罰が要るよなぁー?」
いやもうむーさん別に気にしてないって言いかけてたじゃん!むーさん関係ないじゃん!とらちゃんの個人的な要求じゃん!
夕食後皿洗いを終え、自分から話を振っておいてむーさんの言葉を遮ったとらちゃんに、僕はえぇーと言った顔をしつつ心の中でそう突っ込む。
「というわけですずやん一緒にお風呂入ろっ!」
「いやもうそれってむーさん全く関係…………はい?えっ、今なんて言った?」
「今日はウチと一緒にお風呂入ろって言ったんやで?」
オフロ、イッショニ、ハイル?僕ととらちゃんが…………………………?
「…………だっ!ダメっ!それはダメっ!ノー!NG!僕が許しても倫理的に許されないっ!読者も許してくれないよ!」
とらちゃんの言葉をなんとか処理出来た僕の頭は一瞬固まった後、ぽんっという音が出そうな程一瞬で顔を赤くして早口でそう言う。
「読者?まぁええ、というか昨日一緒に寝たりしたのに何を今更ー、というかすずやんも女の子なんやから倫理的にも問題はないやんかー」
「うっ……そっ、それは…………」
「それにこの事は誰にも喋らずに秘密にするから!バレないようにりゅーくんと一緒に手伝うから!代わりに、ね?おねがーい!」
いつもの事だけどとらちゃんサラっとむーさん巻き込むなぁ……
「まぁこればっかりは俺もバレないようにするの手伝うよ。いつも虎が迷惑かけてるしね」
哀れみが籠った僕の視線を受けたむーさんに僕はそう言われた挙句、逆に頼むという目でむーさんに見られ、僕は1つ大きくため息をつくととらちゃんと一緒にお風呂に入るのを渋々承諾したのだった。
ーーーーーーーーーー
そして今に至ると…………というかとらちゃん洗うの上手いなぁ……気持ちよくて声出そー………………
「きゅぅ〜……あっ…」
出そうじゃなくて出てしまった……しかも声じゃなくて鳴き声みたいなのが…………
「おー、すずやんの鳴き声……?ふふふっ♪そんなに気持ち良かったん?」
「……うん、気持ちよかった…………」
思わず出てしまった僕の鳴き声みたいな声を聞きくすくす笑っているとらちゃんにそう聞かれ、僕は恥ずかしさで顔を赤くしながらも余りの気持ちよさに素直な返事をする。
「そう言って貰えるなんて嬉しいわぁー。でもすずやんの翼とか尻尾って…………ほんま触り心地ええよなぁ……」
「んんっ……とらちゃんそれっ………ふみゅぅ…気持ちいいよぉ…………」
あぁぁぁぁぁ……翼爪の付け根の所がちょうどいい強さでぇー……
「あ、尻尾が揺れだした」
「みぃうぅ…………」
「すずやん大きいのに小動物みたいやねー。さっ、次は尻尾洗うでー」
「はーい……あっ、先っぽと根元は自分でやるからね!」
敏感だからね!うん!自分のペースが大事!
「はいはい、じっとさせててなー」
「うんー」
最初に拒否していたのはどこへやら、僕は翼や尻尾をとらちゃんに丁寧に洗われながら蕩けた顔でその心地良さを堪能していたのだった。
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