第120鱗目:一緒に!?龍娘!

「ふんふふ〜んふ〜んふ〜ん♪」


 おっふろ〜おっふろ〜♪おっふろ〜には〜いってすっきり〜♪


 日の落ちた暗い廊下を着替えのパジャマや下着を抱えて僕は上機嫌に鼻歌を歌いながら、ぺちぺちと足音を立てて尻尾を揺らしつつ風呂場へと向かっていた。


 女の子になったからか、ドラゴンの体の性能かはわかんないけど、この姿になってあんまり汗かかなくなったんだよねー。


「本当暑いのも全然きつくないし、暑さに強くなったのかなぁ」


 それでもやっぱりお風呂はスッキリするし気持ちいいから好きだなぁ、翼とか尻尾を洗うのは少し億劫だけど。


「さっ、とりあえずさっさとお風呂に入ってから体洗って、翼を全部湯船につけてゆっくりするとしまふっ!?」


 なんかすっごいぷにぷにな柔らかいのが…………


 目をつむっていた事もあり珍しく人が居ることに気が付かなかった僕は、柔らかい何かに正面からぱふっとぶつかってしまう。


「あら鈴ごめんなさい、大丈夫?」


 この声はさーちゃんか、となるとこの柔らかい物は───────


「う、うん!大丈夫!大丈夫だよー!こっちこそごめんねさーちゃん!それじゃあ僕はお風呂入るからこれで!」


 ぼ、僕はなにも見てない!下着姿のさーちゃんなんて見てないっ!


「あ、鈴待ちなさい」


「……はい」


 柔らかい物の正体を察した僕は顔を赤くしてそう言いながらお風呂場へと入ろうとしたが、さーちゃんに声をかけられてギギギと首をそちらへ向ける。


 や、やばい……さーちゃん怒らせちゃったか?


「せっかくだし一緒にお風呂入らない?」


「……はい?」


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 カポーン


「ごめんね鈴、色々忘れててまだ入ってなかったのよ」


「ううん気にしないで。それに僕も翼洗ってくれるの手伝ってくれるのは助かるし」


 一緒にお風呂に入ろうと言われて僕も最初は全力で断っていたものの、翼洗うの手伝うからとさーちゃんに言われ僕は仕方なく許可したのだった。


 でもまぁ…………下着畳んだりするから知ってはいたけど……改めて生で見てみるとまぁ………とんでもなくご立派な物が2つ………………


「鈴、どうかした?」


「いやぁー……別に何でもないよぉー…………」


 正直に言ったら殺される気が、いや尻尾をぷにられる気がする。


「そういや鈴とお風呂に入るのって始めてね」


「だねぇ〜……」


「蕩けちゃってまぁ」


「だって気持ちいいんだもーん……」


「やけに広い湯船だとは思ってたけど、やっぱり翼をお湯に浸けれるようにだったのね……………………尻尾触っていい?」


「だめぇ〜……」


 翼や尻尾を含め体を洗い終えた僕は蕩けた顔で湯船の中でてろーんとなりながら、尻尾を触ろうとしたさーちゃんにぱちゃぱちゃと翼でお湯をかける。


「きゃっ!やったわねー……それっ!」


「翼がーど!」


 ふっふっふっ!てろーんとなってても隙はないのだよ!


「あっ、ずるい!それじゃあ……こっちはどうだっ!」


「ひゃうっ!?さーちゃん尻尾はやめてー!」


「仕方ないわねぇ……」


「仕方ないわねぇじゃないよ全く……というかさーちゃん僕の尻尾本当に好きだよね」


 隙あらばすぐに触ろうとしてくるし、そんなにいいものかなぁ。


「触り心地とかがすっごくいいのよね、後悶えてる鈴がかわいい」


「永久的にお触り禁止で」


「じゃあ今のうちに楽しもうかしら」


「やめろう!」


 僕はさーちゃんに掴まれかけた尻尾をしゅるりと動かしぎゅっと抱きしめ、わきわきと手を動かしながら近づいてくるさーちゃんにやめるよう叫ぶ。


「それにしても鈴って本当に綺麗な肌してるわよねー、真っ白だしつるつるだしぷにぷにだし毛1本もないし、本当に羨ましいわ。何かしてるの?」


「ううん、特に何かしてる訳じゃないし、元からこんなんだけど…………羨ましがる事?」


 まぁ健康的ではあるしその点は羨ましく思われるかもだけど。


「鈴ー?千紗さんもアタシもだけど、女の子が綺麗なお肌を維持する為にどれくらい努力してるか少しは知りなさーい?」


「あひっ!ちょっ!さーちゃんっ!ふひひっ!やめっ!あははははっ!」


「ほーら生意気言う子にはこうよー!」


「ふひひっ!このっ!やったなー!?」


「きゃっ!しっ、尻尾の先でこちょこちょってっ!ふふふっ!あははははっ!」


 僕達はお風呂の中でそうバシャバシャと水しぶきと笑い声を上げ、こちょこちょし合ったのだった。

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