第119鱗目:席替え!龍娘!
「それじゃあ皆、席替え始めるからねー」
「「「「「「「「「「おぉぉぉぉおーーー!」」」」」」」」」」
流石席替え、皆盛り上がってるなぁ……
3日に渡る実力テストも全て終わり、後はこの蒸し暑いお昼に帰るのみとなったクラスメイト達は、代永先生のその一言に大盛り上がりしていた。
「やっぱり席替えってドキドキするよな、鈴香」
「あ、うん。そうだね」
「どうしたの鈴?あんまり乗り気じゃないみたいだけど」
うーん、まぁ、何となく先の展開が読めると言うか、そんなのもあるけど……
「さーちゃんと離れたくないなぁって」
やっぱり仲良い人の隣がいいからね。
「あ、あらあら〜。嬉しいこと言ってくれるじゃないこの子」
「えへへ♪」
席を決めるためのくじ引きの列が出来ていく横で僕が隆継達と集まってそんな話しをしていると、先生がこっちへ手を招いているのが見えた。
「なんか先生こっちに手招きしてねぇか?」
「あーうん多分、というか間違いなく呼んでるの僕だと思う。という訳でちょっと行ってくるね」
「…?おう、わかった」
「行ってらっしゃい鈴」
「ん、行ってくる」
まぁ、もうここまで来ると間違いなく僕の予想通りの要件だとは思うけど……違うかもしれないから─────
「────────という訳で、天霧さんの席は1番後ろの列でいいかな?1番後ろならどこでもいいから!」
うん、予想通りだった!
「こればかりは仕方ないですよ。それに僕は目もいいから不便はしませんし、そこまで気にしないでください」
僕は予想通り「翼が邪魔になるから後ろの席でいい?」と代永先生に言われ、心の中で予想出来てたけどと後ろに一言付け加えながらそう答える。
「ありがとう天霧さん、それじゃあ席は何処がいい?」
「んー…………それなら今と同じ場所がいいです」
もう少ししたら寒くなってくるけど日向でぽかぽかすると寝ちゃいそうだからね、それなら少し寒いだろうけど今と同じ場所がいいかな。
「同じ場所でいいのね?なら天霧さんはこれから丁度いい場所選んだわね」
「そうなんですか?」
「そうよ、丁度どの教室でも暖房が当たる位置だからあの場所暖かいのよね。でももし寝てたら容赦なく起こすからね?」
「は、はーい」
企みが裏目に出てしまった……ま、まぁ、寝なきゃいいんだから、うん。
笑顔でそう言ってくる代永先生の言葉を聞いて、僕は思わずゆったりと左右に振っていた尻尾を止め、苦笑いを浮かべながらそう返事をする。
そしてそんな事を考えて気を取り直そうとしながらてくてくと隆継達の元へ戻り、帰る準備をしながら全員がクジを引き終わる待つのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「んで自分が後ろの席になる事は予想出来てた鈴香さんも、俺ら3人が1箇所に固まるのは流石に予想出来なかったみたいだな」
「あんなの予想出来るわけないじゃん」
「思わず鈴突っ込んでたものね「どんな奇跡だよっ!」って」
「うむ」
本当、びっくりしたもん。
そう、席替えの結果僕の席の前にさーちゃん、横には隆継が来た事で僕は思わずそう突っ込んでしまっていた。
そんな事があった後の帰り道、ズココココと両手で持っている途中で買ったマンゴージュースを飲みながら、僕はニヤニヤ顔の隆継にそう答える。
「でもよかったわ、アタシもせっかくならまた鈴の近くが良かったし」
「俺は前は離れてたからな、今回は鈴香の横に来れて本当に嬉しいぜ」
「とかいって忘れ物したら貸してもらったりする気なんでしょ隆継」
「あ、バレてた?」
どうせ隆継の事だからそんな事だと思ってたよ。
「アンタはわかりやすいのよ、それとまずちゃんと宿題は自分でやりなさい」
「へーい」
隆継は将来さーちゃんみたいな人の尻に敷かれそうだなぁ…………本当にそうなってたらからかってやろっと。
まだ蝉の鳴く日の昼下がり、僕達はワイワイとそんなくだらない話をしながら家へと帰るのだった。
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