第114鱗目:フラグ!?龍娘!
「ここが楽屋かぁ………………うぅっ…なんか緊張してきたぁ…………!」
「んまぁ初舞台がこれやしなぁ、出てる芸能人達ですらやっぱり緊張しとんのに、天霧ちゃんが緊張せぇへんわけないか」
天霧鈴香様と扉のボードに書かれた部屋に僕が入ると、中は畳スペースのある結構広めな部屋になっていた。
「鈴ちゃん鈴ちゃん!天霧鈴香様だってー!凄いねー!」
あ、なんかはしゃいでるちー姉見たら少し落ち着いた。
「天霧ちゃんのお姉さん凄いはしゃいどるなぁ……」
「あはははは……」
「それじゃあ時間になったら呼びに来ますので、天霧さんは置いてあるシャツに着替えて休んどいてください。会長はスポンサーの方々にご挨拶の方を」
「おう、わかった。それじゃあ天霧ちゃん、また後でな!」
「はっ、はいっ!」
僕と雅紀さんに角水ADと呼ばれていた人がそう話すと、角水ADと雅紀さんは共に部屋を出ていって部屋には僕と付き添いで来たちー姉が残される。
仕方ないとはいえすごい所まで来ちゃったなぁ…………僕の人生一体どうなるのやら。
そんな事をつい考えてしまう僕がなぜこのような場所に居るのか、それは数日前に遡る。
ーーーーーーーーー
「お、そういや今年の30時間テレビは次の土曜からなのか」
30時間テレビ?あの最近テレビでよく言ってるやつだっけ?
「その30時間テレビ?ってどんなのなの?僕よく知らないんだけど」
お昼ご飯を食べてリビングのソファーでゴロゴロしていた僕は、横でくつろいでいる隆継の言った30時間テレビというものについて聞いてみる。
「あーそうか、鈴香は知らないか。えーっとだな簡単に説明すると…………色々な企画とかを30時間ぶっ通しでやる特別な番組だな」
30時間もぶっ通しで!そんな番組があるのかぁ……すごいなぁ。
「凄いよなぁ、しかも日本中の有名人とか人気芸能人とかがたっくさん出るんだよ。後は番組と同時並行でフルマラソンとかもあったりしてな」
「なんか……色々あるんだねぇ」
「ははっ、とりあえずはそんな感じだ。鈴香もそこそこというか今1番の話題だし、雅紀さんと繋がりもあるからもしかしたら声をかけ────」
プルルルルルルル……プルルルルルルル……
ん、電話か。
「ちょっと出てくるねー」
「お、おう………………………………もしかして、フラグ立てちまったか…?」
電話の鳴る音を聞いて僕は顔を引き攣らせ何か呟く隆継に首を傾げつつ、リビングを出た所にある受話器を取る。
「はい、もしもし」
『お、鈴香か?』
「そうですよ三浦先生、わざわざ電話だなんて珍しいですね。それで今日はなんの御用で?」
『あぁ、ちょっと話したい事があってな。今からそっちに行っていいか?これは面と向かって話したい』
面と向かって?何かあったのかな?
「はい、大丈夫ですが………何かあったんです?」
『まぁ、後で話すしここで言ってもいいか』
なんか言いにくかったやつなのかな?
少し黙ってから三浦先生がそう言ったのを聞き、僕は尻尾の先をくるくると指で遊びながら、一体どんな話だろうと心構えをする。
『それじゃあ単刀直入に言うぞ』
「は、はい」
『今週の土曜日からあるテレビの番組、30時間テレビの後半に鈴香が特別ゲストとして出る事になった』
「………………はい?」
テレビに…………出ることに……?……僕が?
『まぁそう固まるよな、とりあえず大丈夫なら今からそっちに行くから』
「ちょっ!ちょっと!てっ!テレビに出ろと!?僕に!?」
『そうなるな、詳しくはそっちに行ってから話すから、それじゃあ』
「み、三浦先生!ちゃんと説明を!ってあっ………切れちゃった……」
なんとタイムリーな……じゃなくて!えぇ…………一体どうしてそんな事に…………
まぁとりあえず───────
「話を聞いてみないとなぁ……はぁ…………」
僕は肩だけではなく翼までガクリとさせながらそう言うと、ため息をついてリビングへと戻るのだった。
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