第91鱗目:後日!龍娘!
「いやーお騒がせしました。まさか誘拐されかけるとは思ってなくて」
「ウチらはそれにプラスして現実離れした光景見せられて二重に驚かされたんやでー?」
「ほはひゃんひゃへへー」
あははと笑いながらそう言う僕を見て、とらちゃんはほっぺを少し膨らませながら、ぐにぐにと僕のほっぺを引っ張ってくる。
「ほら虎白ちゃんそこら辺でやめてあげて、でも本当に一昨日は驚いたわよ。まぁ鈴が無事で本当に良かったわ」
「心配かけてごめんねー?」
でもまさか自分が誘拐されかけるなんてなぁ……本当びっくりしたよ。
あの誘拐されかけた1件の後、幸いにも目撃者が多かった事もあり、僕は警察に短時間の事情聴取をされただけで解放された。
そして三浦先生の念の為にという指示の元、僕は一晩日医会に泊まってから昨日家に帰った。
ちー姉ちゃんが今にも泣きそうな顔で日医会に来た時は驚いたけどね……あんまり心配かけないようにしないと。
そんなちー姉ちゃんの為に僕は昨日丸1日、ちー姉ちゃんと一緒に居てあげた。
そしてようやくちー姉ちゃんが落ち着いた、というよりも満足した所であの事件から2日経った今日、僕はいつものメンバーで学校側のファミレスに来ていた。
「それにしてもまさか俺らがいないタイミングでそんな事が起こるとはなぁ」
「今回は狙われたのが天霧さんだったのと、その狙われた天霧さん自体が規格外なおかげで何も無かったが……今度からは俺にも何か言ってくれよ?」
むーさん、それしれっと僕なら大丈夫って言ってない?仮にも僕、体だけは女の子だよ?
…………馬鹿力だけど、心から女の子になる気ないけど。
「はーい……」
あっ、とらちゃんがむーさんに怒られて今までに無いほどしょんぼりしてる…………いつかお仕置きしようとか考えてたけど…お仕置きはこれでいいか。
「とりあえず一昨日の話はここまでにしましょ。今日は本題があるんでしょ?」
「おっと、そうやった」
この話は終わりとばかりにさーちゃんがパンパンと手を叩いてそう言うと、それを聞いたとらちゃんが思い出したように今日の本題を切り出す。
「今日皆に集まって貰った理由はこれや!」
「華朧神社夏祭り?」
バシンと机にとらちゃんが叩きつけたチラシにはそう書いてあった。
「華朧神社夏祭りってあれか、毎年神社の周りであってるやつ」
おぉ、そんな祭りがあったのか!
商店街でも毎年やってたけどここでもあってたんだなぁ。どんなお祭りなんだろう?
「あれ花火上がるから行かなくても見てるだけで楽しいのよねー。確か次の木曜日だったわよね?」
木曜っていうと……にーさんしーごー…5日後か!
「それで虎白、その祭りがどうかしたのか?皆で行きたいのか?」
僕がさーちゃんや隆継から情報を仕入れながら話を聞いていると、むーさんがとらちゃんに少し心配そうにしながらそう聞く。
「そや!せっかく手短な所で夏祭りがあるんやし、皆で行きたいなぁって!」
「まぁ虎白だしそんな事とは思ってはいたが……一昨日天霧さんが危ない目に合ったばかりなんだから少しは配慮を─────」
「まぁまぁむーさん!別に僕もなんともなかったんだし!それにほら、今回は2人もいるし皆離れなきゃ大丈夫だって!」
「だが………」
「大丈夫、大丈夫だから」
このままだとせっかくのお祭りに皆と行けなくなるからね、そうはさせん。
「まぁ……本人がそう言うなら…………2人は用事とか大丈夫か?」
僕が慌ててむーさんにそう言うと、むーさんはまだ少し心配そうな顔をしながらも隆継とさーちゃんに用事はないかと聞く。
「アタシも特に用事はないから大丈夫よ」
「俺もだ、その日は見たいアニメも無いしな」
「一応僕も大丈夫だよ」
僕達がそう言うととらちゃんは満足そうにひとつ頷き、続いて集合場所や時間なんかを決め始める。
せっかく心配してくれてるむーさんには悪いけどせっかくのお祭りだしね、やっぱり行かない手はないでしょ!
僕はそう思いながら4人と当日どうするか、僕達は楽しげに話し合うのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます