第61鱗目:お昼ご飯!龍娘!

 なんだ……


「コロッケ美味しそうやなー!お弁当もしかして手作りなん?」


「う…うん、手作りだよ……」


「すごいなぁ!」


 なんなんだ…………


「おおお……!お弁当箱の猫ちゃん可愛ええ!!しかも白猫やん!猫好きなんー?」


「すっ……好きだけど……」


 なんなんだこの子はーた?!!!


「おい天霧、この子知り合いか?」


「しらにゃいようっ!」


 興味津々といった感じで僕に次々と質問をしてくるその栗毛の子に圧倒されていた僕は、隆継の服を掴みながらすがりつくようにそう答えた。

 そしてもう限界と言う風に涙目でぷるぷるとなっていた僕に、その子は更に質問をして来ようとして……


「なぁなぁ!天霧さんってどっからき───ぎゃうっ!?痛いっ!りゅーくん痛いわっ!」


「いい加減にしろ、天霧さんが困ってるだろうが。すまん、俺が少し買い出しに行ってる間に虎白が迷惑かけた」


 りゅーくんと呼ばれた背が高く細身で髪の毛がオールバックな目付きの悪い強面男子はそう言うと、虎白と呼ばれた質問女子の頭を引っ掴んで一緒に頭を下げてくる。


「あっうん、ちょっと怖かったしよーくしつけておいてくれるとっ!?さーちゃん痛いっ!」


「そこは嘘でも大丈夫って言う所なのよ。そうね、せっかくだし貴方達もお昼一緒にどう?」


 僕の頭にチョップを叩き込んださーちゃんは叩いた所をさすってくれながら、2人に向かってそんな提案を出した。


「いいん!?あでっ!」


「そっちがいいのなら是非とも」


 りゅーくんと呼ばれた男子が承諾した事で、僕達は5人で一緒にお昼ご飯を食べる事になった。


 ーーーーーーーーーーー


「所で今更だけど2人の名前は?」


 頬張っていたコロッケを飲み込んだ僕は、そういや聞いてなかったと2人に名前を聞いてみる。


「はいはーい!ウチは虎白、朱雀峯虎白って言うんよー!好きなもんは可愛いもんと動物!あと甘いもん!よろしくなー?」


「俺は武玄龍清、虎白の幼馴染兼お目付け役だ。こいつになんかされたらすぐに言ってくれ」


 そんな2人の自己紹介を聞いて僕は「珍しい苗字だなぁ」なんて思っていると「お近づきの印や〜」と言って朱雀峯さんがおかずをひとつくれた。


「いいの?」


「ええよええよ〜!」


「ありがとー!じゃあコロッケで申し訳ないけどお返しー」


「おおっ!ありがとーな!」


 牛肉かな?なんかすっごい美味しそうな甘い匂いが……


 朱雀峯さんとおかずを交換し合った僕は朱雀峯さんのくれたお肉から漂うどことなく上品なその香りに驚きつつ、あむっと口へと放り込む。


「んんっ!?」


 なにこれーーーー!!とけた!それにすっごい美味しい!旨みっていうのかな!?それがすごい!しゅわぁぁぁって!


 思わず口に手を当ててしまった程の美味しさに僕は目をキラキラさせながら、小さくぴょんぴょんと跳ねつつ尻尾をブンブンと振ってしまう。


「おおっ!よかった、口にあったみたいやね!どや?最高級松阪牛のお味は」


「うん!口の中でしゅわぁぁってまつっ!?」


「あー、虎白ん家すっげぇ金持ちだからな」


 まっ、ままっ!!まつさかぎゅう!?

 それってあのどえらいくらいとんでもない超高級品の!?

 あわわわわわわ…………そんなお偉いさんしか食べれないようなものを食べちゃった……そんなのに釣り合うお礼なんて………


「鈴?」


「………………体で払うしか……?」


 訝しげにこっちを見てくるさーちゃんを横にぷるぷると震えながら、僕はそんな事をボソッと呟く。


「鈴!?」


「あははははっ!天霧さん面白いこと言うなぁ!それなら………せやな、ウチらの友達になってーや!」


「……いいの?」


 僕の前に座っている朱雀峯さんは膝を叩いて笑った後、ニコッと可愛らしい笑顔で僕に向かって手を差し出してくる。


「勿論や!それじゃ、今日からウチらは友達やー!」


「─────うん!」


 僕はぱあっと顔を明るくして朱雀峯さんの手を掴み、ぎゅっと強く握手を交わした。

 こうして、学校で初めての友達が出来たのだった。

ーーーーーーーーーーー


以下キャラ紹介


・天霧鈴香その2


性格は明るいが落ち着いた性格でだいたいの事をポジティブに考え、受け止めることが多い。

しかし幼少期の頃から自分という物が薄いせいか周りの影響を受けやすく、大きい変化や注目され過ぎたりすると直ぐに感情が昂り、時にはパニックになりかける。

感情が昂った程度だと少し力加減が下手になったり尻尾や翼が無意識に動く程度だが、パニックになると力加減や尻尾、翼の動きが制御出来なくなる。

その為日医会を出る少し前に三浦先生より精神安定剤を貰っている。

幼少期の頃に親が蒸発して親類や引き取り手が居なかった為1人で暮らしていた。

龍娘になる前は近場の商店街でお店の手伝いをする事でなんとかその日暮らしをしていて、高校にはお手伝いで少しずつ貯めていたお金で入学、中学時代は学費などあらゆる事でとある先生にとてもお世話になっていた。

鈴香は遊んだり楽しい事、斬新な体験などをしている時は著しく精神年齢が低下する傾向があるが、それは小さい頃から誰かと遊んだりすることが一切なかったからで、それ以外の時は大人顔負けと言ってもいいほど大人びている一面もある。

気を許した相手にはよく構ってと言わんばかりに甘えてたりする。

思考は男的な考えが多いが女の子のような考え方をする事もある。

料理なんかのスキルは生きる上で身につけ為、趣味や好きな物は龍娘になってから見つけ出し初める事になったので………

本人は自覚してないが容姿は相当可愛い部類に入る。

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