第58鱗目:僕のクラス!龍娘!

 やばいっ!さっきまでの壇上とは違った緊張がっ!


「大丈夫ですか?」


「ひゃひっ!たいひょうふれふ!」


 かんだぁぁぁぁぁぁぁあ!

 しかも盛大に全部噛んじゃったよ!


「落ち着いて落ち着いて、ちょうどそこに冷水機ありますしそれでも飲んで下さい」


「は…はいぃ……」


 生徒達が体育館から自分達の教室へと戻った後、僕は今副担任の先生に連れられて1年3組へと向かっていた。

 僕の通うこの学校はどうやら一学年で1組から9組まであるらしく、僕はそのうちの3組へと編入された。

 ちなみに1組から3組が普通科、4組から6組が理数科、7組から9組が体育科らしい。そして僕の入る3組は学年棟の最上階である4階にあった。


「ふぅ……」


 何とか落ち着いた…………ついでだしお薬も飲んどこう。


 冷水機で水を飲んで少し落ち着いた僕は、念の為と三浦先生に渡された薬の入った瓶をバックから取り出して、そこから一錠薬を飲む。


「そのお薬は?」


「これですか?これは感情が高まりすぎないようにするお薬です。さっきは飲む暇がありませんでしたが、今なら飲めるので」


「なるほど……なぜ必要かは置いておくとして落ち着いたのならよかったです。それでは行きましょうか、といってももうこの階段を上がった先ですが」


 そう言う副担任の先生と一緒に階段を上がり、4階に上がったところで右に曲がると「1ー3」という板がある教室があった。


 ここが僕の教室かぁ…………楽しみだけど……やっぱりちょっと怖い!


 そんな僕の気持ちなど副担任の先生が分かるはずもなく、容赦なくガラリと戸が開けられる。

 そして教室の中から代永先生の「転校生の子が来ましたね、入ってどうぞ」なんて声が聞こえてきて、その瞬間教室中が騒がしくなる。

 そして副担任の先生に「入ってください」とジェスチャーされ恐る恐る教室へと入る、すると教室中から……


「キター!」「すげぇ本物だ!」「でけぇ!」「きれーい!」「角かっけぇ」「尻尾かわいい!」「髪の毛銀色?灰色?綺麗……」「体ちっちゃーい!かわいー!」「飛べんのかな?」「なんか魔法とか使えるのか?」


 等とクラスメイト達の声が聞こえてきた。そのおかげで僕は少し緊張が解れ、そして教室の右後ろにさなかちゃんと隆継が居るのが見えた。


「皆さん静かに!天霧さん軽い自己紹介お願いできるかしら?朝礼で1度紹介して貰ったけど改めて」


「はっ、はい」


「黒板に名前書いて趣味とか軽い挨拶とかして貰えればいいから」


 先生の一声で教室は静かになり、僕は先生に言われた通り黒板に名前を書いて皆に向かって自己紹介をする。


「えと、僕は天霧鈴香って言います。趣味は料理と掃除で…………えと…その……みっ、皆さん1年間よろしくお願いしまひゅ!」


 じっと皆に見られているという事を意識してしまった僕は強引に自己紹介を終わらせると、ぽふんと恥ずかしさで顔を真っ赤にして俯く。


「とりあえず天霧さんの席は左後ろ、柊さんの隣の席ね。柊さんは後で天霧さんに学校を案内してあげて」


「はい」


「では天霧さんは席の方へ、はーいそれじゃあSHR初めますよー」


 先生に言われ僕が席へと移動すると「しょーとほーむるーむ」という物が始まった、といっても連絡事項を話していたので小中時代の朝の会的なものだった。

 そしてそのSHRの間も僕でも分かるほど教室中の雰囲気は浮ついていて、案の定SHRが終わった途端……


「天霧さんその翼って本物!?」「尻尾動いてたけどどんな感じなの!?」「触ってみてもいい!?」「角ってどんな風に生えてるの!?尻尾とかも!」「飛べるの!?」「魔法とか使えたりする!?」


 濁流の如くクラスメイト達が詰め寄ってきた。


「えっ!あっ!ちょっ!そんな一気に……!ひゃんっ!?尻尾触ったの誰っ!?」


 もみくちゃにされていた。


 やばいっ!これはやばいっ!尻尾とか言ってる場合じゃないっ!潰れる!怪我させちゃうから力任せに跳ね除けられないっ!

 あっ、もうダメ───────


 もみくちゃにされてる中、もうダメと僕が諦めかけたその時。


「お前ら落ち着け!そんな一気に来られても天霧は答えられないだろっ!それにお前ら怪我させたらどうすんだ!相手は女子だぞ!」


 隆継が大声でそう怒鳴ったことで教室はシーンと静まり返り…………


「じぬぅ…………づぶれるぅぅぅ………………」


「「「「「「「「「ごめんなさいっっ!!」」」」」」」」」


 生徒達の山に埋もれていた僕の潰れたカエルのような声を聞いて、詰め寄ってきてた生徒達はようやく僕から離れてくれたのだった。



ーーーーーーーーーーー



以下キャラ紹介


・天霧鈴香(旧名:瑞葉蒼)


周りからは鈴香、姫、天霧、鈴ちゃんと呼ばれる本作の主人公。一人称は僕。

搬送先の病院で突然龍娘となった所を本部から来ていた三浦が確保、その後保護という形で日医会の下層にて数ヶ月間過ごし、2章にしてようやく外へと出ることが叶った。

見た目は薄灰色の髪に若葉色の瞳孔が縦に長い瞳が特徴的な、全体的に美人というより可愛らしさのある容姿。

翼や尻尾、体の各所にある鱗などの色は薄水色。

翼は軸になる部分等は鱗に被われていて甲殻は無い、尖った水晶が翼爪としてついている。

翼は広げると片翼で2メートル強、両翼合わせると6メートル近くになる。

翼膜は1番広いところで220センチもある。根元は敏感で触られるとゾクゾクというかビリビリするような変な感じがするらしい。

尻尾の背は甲殻、腹は皮になっており、長さは173センチ程、腹の部分は撫でられるのが気持ちよくて好きだが先の方は敏感なので触られたくないとの事。


主人公という事もありそれなりに長いので今回はここまでです、続きはまたその内に。

やる気、そして作品の出来栄えにも直結する為感想や評価をどうかよろしくお願いします!

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