第25話 タイムトラベル
時間を超えることなんてできっこないだろ?
そんなことはない。
紙と鉛筆を用意してごらん。
点をひとつ書いてその後ろに線を引くんだ。
その点の先端が今、僕達が生きている場所、つまり現在の時間だ。
紙のどこでもいいから、もうひとつ点をつける、そこが未来だ。
点と点は繋がっていない、そうこれから長い時間をかけて線が引かれていく…
人は過去にはいけない。
だけど未来へは行けるんだ。
紙を折って、点と点をくっつければ、ほら今と未来は繋がった。
線なんて引かなくても繋がる。
時間の流れなんて無意味だということさ。
どうやって?
タイムマシンなんて存在しないじゃないか‼
おいおいバカを言うなよ…君の家にもきっとあるよ。
無くてもコンビニにはある。
会社のオフィスにあるかもしれない。
休憩室にはあるだろう。
乗ろうと思う奴はいないだろうけどね。
「本当にいいんだね?」
「えぇ…今に生きる気はしないんです…」
「自分で募集しておいて何なんだが…保証はないんだよ」
「解ってます」
「希望は?」
「50年…いや100年先で」
「少なくとも私は生きていない…が…解凍の保証はされている」
「契約書は読みました」
「じゃあ…君の未来に幸あらんことを」
カプセルに入るとガスが充満してくる…睡眠ガス………
数秒で意識が途切れた…。
「冷凍技術は進歩したな…」
「電子レンジで時間を飛び越えることができるんでしょうか?」
「その証明は100年後だ…電子レンジだって進歩するさ」
小型化が技術力の証明なんだ。
人を冷凍して解凍するなんて大型化するなんて…時代に逆行した技術で時を飛び越えるなんて…。
『チンッ』
僕は箱の中で目覚めた。
ガコッ…と扉が開く。
「これが…僕の望んだ世界…」
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