第20話 後始末

 私からアドバイスを、ひとつ…

 貴方が、もし殺し屋を雇うことになったならば、その時に思い出してほしい。

 貴方が報酬を提示すれば、それを目当てに何人もの自称『殺し屋』が名乗りを上げることでしょう。

 実際に人など殺したことも無い輩から、ソレで食っている連中まで、選べない程に群がることでしょう。

 私が、そんな時に振るいに掛ける方法を教えてあげましょう。


『殺し方を売り込む殺し屋とは仕事をしないこと』


 自分はナイフで殺します。

 私は毒物を使用します。

 寝込みを襲います。

 拷問するように、いたぶりながら殺します。


 色々な殺害方法を熱心にアピールしてくるでしょう。

 そんなことは、どうでもいいのです。

 貴方の目的は、自分の手を汚さずに、疑いがかかることなく邪魔者が消えてくれればいいのですから…。

 いや、恨みを晴らしたいのだ、そういう方は自分で好きなように殺すべきです。

 殺し屋とは私怨を晴らす存在ではないのですから。


 選び方?

 肝心なことを話し忘れておりましたね…そう大事な事。

 じゃあ、どんな殺し屋を選ぶべきなのか?

 お話しましょう。


『死体を、こうやって始末します』


 死体の処理を説明できる殺し屋は信用できます。

 そう…人を殺すなど簡単なのです。

 通りすがりに鼻歌混じりで人など殺せるのです。

 誰にでもできる、簡単なことなのです。

 その気にさえなれば…ですがね。


 そういう中で、死体の処理を提示できる殺し屋を雇いましょう。

 世の中には、死体の処理専門の連中もいるのです。

 そういう連中とつながりがある殺し屋もいますから、聞くべきことは、殺した後、どうするのか?

 これだけでいいのです。


 後悔のない、選択を…。


 私は後悔しているのです。

 雇われたはいいけれど…この死体をどうすべきか?


 問題に直面している私だからできるアドバイス。

 貴方のお役に立てることがあれば幸いでございます。

 貴方も、雇った殺し屋も、後悔の無い取引を願うばかりです。


「キミに幸あれ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る