第16話 ずっと一緒だよね

 私が幼稚園のころ、御向かいに引っ越してきたミナ。

 私の名前はナミ、御向かいの子はミナ。

 同じ歳で、同じ幼稚園へ通い、小学校に入りクラスが違ってもずっと一緒に遊んでた。

「アタシ達、ずっと一緒だよね」

「うん、ずっと友達だよね」


 中学校になって、ミナが突然、好きな子ができたって…。

 私は、その男の子のこと好きじゃないけど…ミナが好きなら、私も好きにならなくちゃって、だけどミナがその男の子と付き合うことになっちゃって、どうしようって…………。

 ある日、ミナがその男の子をキスしてた……。

 あっ……私もしなきゃダメかな…好きじゃないけど……したくないけど……。


 私もその男の子とキスした、そのまま……なんか最後までしちゃった……。

 ミナに話したよ。

 その男の子としちゃったって……だってミナもすぐするでしょ?

 私は、その男の子好きじゃないから、1度するだけ。

 ミナは泣いて帰っちゃった。

 翌日、その男の子から呼ばれたの……私ミナが心配で、学校休んでたし……。

 その男の子、また私を抱こうとしたの…ミナのことを抱きゃなきゃならないのに!

 私、頭にきちゃって、つい…石で何度もその男の子を殴ったわ、何度も…何度も…。

 動かなくなって…しばらくして…半分こしてミナにあげなきゃって思ったわ。

 だって、子供の頃から、お菓子もそうして食べたもの。

 チェーンソー…っていうの、ノコギリがビュィーンって動くヤツ。

 倉庫から持ってきて半分にしたわ…ちょっと曲がったけど、まぁ大体半分。


 ミナに電話したけど出てくれないから…重いけどミナの家の玄関に半分置いてきた。

 私はべつに欲しくはなかったけど…おそろいのストラップみたいなものよね。

 同じものを付けているってことが大事なの。


 私も玄関に置いたわ…2往復しちゃった。

 疲れたからお風呂入って寝よ。

 明日はミナ…一緒に学校行ってくれるかな。


 翌日、ミナが迎えに来てくれた。

「嬉しい」

 私、ミナに抱き着いた。

 ズブッて背中から音が聴こえた……熱い?痛い?

 ミナは私を何度も刺したわ…シヌホドイタカッタ…。


 それからはずっと一緒。


 ミナは病院に居るのよ。

 白い部屋…窓に鉄格子があって、他には何もない部屋。

 でもいいの…ミナには私が居るんだから。

 ずっと見てるわ…ミナのこと。


 でも寂しいな…ミナは私のこと見えないのかな?

 たまに私の名前を呼ぶのよナミって。


「ミナ大好き…早くコッチにきて」

「ナミ大嫌い…もう付きまとわないで」


 ミナはその日、そう呟いて首を吊った。

「ミナ大好き、やっと逢えたね、ずっと一緒よ…永遠に」

「ナミなんで…死んでもアタシの前にいるの?イヤァァァアアアァァァァアア」



 ずっと一緒だよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る