第17話 トンネル抜けると…
毎年、お盆になるとお墓参りに行く。
ただの風習、ギクシャクした親戚の顔を見るだけで気持ちが憂鬱になる。
車に乗ってトンネルに入る、無言の車内にオレンジの光がリズムよく差し込む。
両親が親戚とボソボソを会話をしている。
良くは聞こえないけど……たぶんアタシの話。
「もう何年になるのかしら…」
母親がボソリと呟く。
「毎年、墓参りに来てもらって悪いね……」
父親が後部座席に座る従弟に声をかける。
「いいんですよ、叔母さん……私は歳も近かったし、よく遊んでもらったから」
「そうだったわね……毎年、海で遊んでたわね…懐かしい…」
アタシは隣に座る従弟をじっと眺める。
従弟が母親に話しかける。
「それに…隣に座っているような気もするんです…今も」
従弟は隣のシートをそっと撫でる。
「ここに…座って笑っている気がするんです」
誰もいないシートを悲しげに見つめる従弟。
母親がアタシの名前を呟きながら
「なんで…死んでしまったの」
泣き崩れていた。
トンネルを抜けた先にアタシの小さな家がある。
日当たりのいい丘の上に建つ、小さな、小さなアタシのお墓。
「アタシは笑ってなんかいない!!」
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