第6話 ティアドロップ
(あれが母さん…なぜ抱いてくれないの?)
(産まれてきてはいけないの?)
(あの子はいいな…家族に愛されて…幸せそうだね…良かったね)
(コレはなんだろう?…この世界の全て…ひとつも…触っちゃいけないの?)
(なぜ…抱いてくれなかったの?…無いことにされちゃったの…)
(なぜ?どうして!どうして!どおして!どうして!どうして!どをして!どうして!どうして!どうして!どうして!どおして!どうして!どうして!どうして!どうして!どをして!どうして!??……!…?どおして?…ど…うし…て)
(壊してやる…家族も…世界も…触れることができない全てを……………身体が欲しい…触れて壊せる身体が…ほシいィぃぃィぃぃ……)
コトン!…コロコロコロ……。
「ん?」
「なに?」
「ん、石…綺麗なアメジストかな?」
「宝石が道に落ちてるわけないでしょ」
「そうよねー、でも綺麗…ほら、太陽に透かすと、世界が青紫に変わる」
「なに?詩人気取り?やめてよ」
―――その夜
(ねぇ…みんなは優しくしてくれる?)
「みんな…家族のこと?友達のこと?…うん…みんな優しいよ」
(へぇ~いいな~幸せなんだ)
「うん、幸せだよ…」
(そうか、じゃあ壊しに行こう)
「壊す?」
(そうだよ…幸せを壊しに行こう)
「う…ん…壊すの?」
(うん、壊すんだ)
「うん…こわすんだ!壊すんだ!
「あら奈美、どうしたの?包丁なんか持って……奈美?……ナニ?やめて!奈美!やめなさい!ぎゃあぁぁぁァァァ……ぁ…やめ……な…サぃ」
「憎いのよ…みんな、
「ひと~り」
グサッ…ズブッ…ヌチャ~…
「ふた~り」
ドスッ!ドスッ!ズブブブブッ…
「さんにん~」
ザクッ!ブズっ!ズドッ!
「ははっ、ハハハ…あはッアハハAHAHAHAはぁ~」
「かぞう…えな~い……もう…数えない!みんな、みんな…アぁあぁぁァ」
「止めなさい!刃物を捨てて両手を挙げなさい!これは命令だ、従わない場合、即座に発砲します!」
「やめない!
「正気を失っている……やむを得ない…発砲!」
本日深夜、惨殺事件発生。
容疑者
犯人は射殺。
犠牲者8名…全員死亡。
犯人の左手には紫水晶のような石が握られていたが、搬送途中に紛失。
以上 簡易報告。
コトン!…コロコロコロ……。
「なにソレ?」
「綺麗な石だね」
「宝物にするんだ」
(ねぇ…幸せ?)
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