第2話 アナタへのオススメ
便利な世の中になった。
産まれた時に両親が基本情報を入力しておけば、我が子の成長をデザインしてくれるのだ。
例えば、子供を建築士にしたいと思えば、そのために必要な学習プランを構築してくれる。
もちろん、その経過を入力すれば、進捗状況から、可能性を判断して、場合によっては別の選択肢を勧めてくれる。
僕の人生は、今までこういった最適なプランに基づいて歩かされてきたものだ。
もちろん、両親が望んだ形では無いのだろうが…
腕時計のような自分専用のコンシェルジュAIは日々、僕の行動から最適なプランを語りだす。
そして今、AIが僕に薦めてきた、読むべき本のタイトル…
『自殺のススメ…光無き未来へ歩き出したアナタへ』
どこで間違えたのだろう?
僕の足元で呻く母親…すでに動かない父親…
そういえば…昨日は?
『両親を殺しましょう…アナタを産んだ責任を取らねばなりません』
AIは、そんなことを言っていた。
母親のAIが少し前に
『息子に包丁を渡しましょう』
と言っていた。
いつものようにAIに従った朝食の風景。
今日、やるべきことはAIが知っている。
その通りに…その通りに…失敗しても、すぐに次のプランを教えてくれる。
(これでいいの?)
これからどうなるの?
とりあえず、僕は勧められた本を注文した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます