姉に代わって立派に息子を育てます！

第16話

「お帰りなさいませ、旦那様、お嬢様方」

　屋敷に入るとさっそく、多くに使用人たちがお出迎えをしてくれた。

「戻った。

　ミゼたちはいるか？」

「ここにおります」

　そういって二人の子供と一歩出てきたのはきれいな女性だった。この方が伯母様？

「初めまして、アゼリア、ウェルカ。

　あなたたちの母となるミクランゼと申します。

　どうぞ母様とおよびくださいな」

　フフッと柔らかな笑みをたたえて、そう挨拶をしてくれる。私にとって母と言えばお母様、または義母だ。ちなみに義母は母と呼んだことは一度もないが。戸惑っていると伯父様が助け舟を出してくれた。

「そんなに急くな、ミゼ。

　伯父伯母と呼ばれてもいいじゃないか」

「あら、ごめんなさいね。

　こんなにもかわいらしい娘が二人もできるんですもの。

　つい」

　そういって謝る様子もとても可愛らしい。

「初めまして、ミクランゼ様。

　アゼリアと申します」

「ウェルカと申します」

　まあ、とミクランゼ様は少し哀し気な表情をされた。何か悪いことをしてしまったかな。

「せめて伯母様と呼んで？

　さあ、あなたたちも自己紹介を」

「初めまして、姉上、ウェルカ。

　チェルビース公爵が長男、ロナントと申します。

　よろしく」

　そういって先に挨拶をしてきたのは、背の高い方の少年だった。堂々とした態度で、とてもはきはきとした人だな。

「あ、あの。

　次男のルクーシオと申します」

　次に挨拶をしてくれたのは私よりも背が低い男の子。こちらは少しおずおずとした態度だ。兄弟でここまで正反対だと少し面白いかもしれない。

「ロナが13歳、ルークが5歳だ。

　お互い仲良くな」

「はい！」

　よろしく、と握手をしていると使用人の方が別宅に案内すると名乗り出てくれた。そこでありがたくついていくと、とても立派な別宅にたどり着いた。

「本日よりこちらでお過ごしください。

　ご飯の方もこちらに運ぶようにいたします。

　何かありましたら、いつでもおよびください」

「ありがとう」

　そしてその方はすぐに本宅に戻っていてしまった。ここがどうなっているか知らないし、どうしたらいいのだろう？

「お待ちしておりました、アゼリア様、ウェルカ様」

　聞きなれた声にそちらを向くと、ベスとイルナがいた。

「えっ⁉

　どうしてここに？」

「私たちはお嬢様方の専属としてこちらの家についてきたのです。

　どうぞ、これからもよろしくお願いいたします」

　思いがけないことに固まっていると、あっさりとベスが答える。特にイルナはまさかあの家からついてきてくれるとは思っていなかったから本当に驚いた……。

「よろしくね、ベス、イルナ」

　お姉様の言葉に、はいと頭を下げる二人を見て、私はなんだか嬉しくなった。