第12話
それからは順調に授業をこなしながら、様々な本を読み漁った。本宅ではあまり見られなかった本がここにはそこそこあったのだ。それでもあまりにも暇だった私はひと月もあれば読み終わってしまった。ちなみに、すでに読みも書きも完全にできるようになっています。マリーベ様からも美しい文字を書くと褒めてもらえました。
そして、今は王都にある大きな図書館からも本を借りて読んでいる。歴史本、物語本、手記、専門書、ジャンルは問わずいろいろ読んでいるんだけど、どれもなかなか面白い。
「魔法って、いろんなことができるのね」
丁度読み終わったのは平民の女の子がすさまじい魔力を持っていて、それで様々な奇跡を起こし人々を救っていく。そして、王都にて王子様と恋に落ち、今までの功績により皆に祝福されつつ妃になる、という物語だ。正直、ここでの恋物語はどうでもいい。私にはこの少女が起こした奇跡に興味を持った。と言ってもどのように魔法を使ったのかの詳細は書かれていなかったが。
これまでたくさんの本を読んできたが、実は魔法の使い方やその仕組みといった専門書は一冊もなかった。よって、私は未だ魔法に関して、自分の光魔法に関して希少ということしか知らないのだ。
「そうですね、魔力に威力を左右されてしまいますが、基本的に魔法で起こされる現象は人知を超えていますからね。
お嬢様はどんな魔法を使われるのでしょうね?」
「私が魔法を使えると?」
つぶやいた声にこたえるのはガゼットだ。最近よく尽くしてくれるイルナは今図書館に行ってくれている。それにしても魔法を使えるものは希少なのに、どうして確信を持っていうのだろう?
「チェルビース公爵家の方は魔力を持って生まれやすいのです。
そして、お嬢様のその紫がかった銀髪はそんな公爵家の特徴なのです。
同じ髪色であるアゼリア様も魔力を持たれていますよ」
ご存知なかったのですか? という顔で問われる。はい、知らなかったです。そっか、お姉様も魔法を使えたのか。
「ですが、どの属性を持たれているのかは人それぞれです」
「いつ、それがわかるの?」
「そうですね、学園に通われる方でしたら基礎教育部2年のうちに神殿にて魔力のみ確かめます。
魔力を持っているかによってその後の進路に影響がありますから。
そして初等専門部に入ったから属性を探るようです。
でも、ほかの方々も似た年齢ですね」
そうなのか……。なら後3年ほど待たないといけないのね。ちょっと残念。
だが、実際にはその時はもっと早く訪れることになるとはこの時の私はまだ知らなかった。
***
「ウェルカ様のマナーも完璧になりましたね。
そうですね、次は特別授業としてお客様をお招きして小さなお茶会を行いましょうか」
あるときのマナーの授業でふとワルクゥベ様がそんな提案をしてきた。
「お茶会、ですか?
でも一度も参加したことがないので、どういったものか知識でしか知らないのですが……」
「準備は私の方で行います。
ウェルカ様は知識だけでなく、体験もしていただいた方がよいと思いますので。
後ほど、招待状をお送りいたします」
「わかりました」
まだお茶会に参加しないと思っていたから、私は驚きながらも頷きを返した。
招待状はすぐに送られてきた。どうやらワルクゥベ様の邸宅であるカルセッタ伯爵家にて行われるようだ。その日に合わせてドレスを選んだりと、授業とはいえ本格的に準備を行った。
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