第10話
さて、一休憩した後はさっそくマリーベ様から出された宿題をこなしていく。本の中身は歴史のようだ。この国の建国時代、その前後について物語調で詳しく書かれている。確かにこれなら文字も学べるし、歴史も学べるし一石二鳥だね。
ちょくちょく難しい言葉が使われているから、調べなくてはいけなくてこれがなかなか進まない。……、そういえばこの宿題をいつまでにやらなくてはいけないか、マリーベ様は言っていなかったな。
本と向き合っていると、ノックの音がなる。開けると、イルナともう一人の侍女がいた。
「お嬢様、アゼリアお嬢様がご帰宅されました。
まもなく夕食ですので、ご準備を」
言われて本や紙、ペンを片付けるとさっそく着替えることにする。これも実家にいたころとは違うよな。前も思ったけど、実家よりも別荘の方がしっかりとしているとは本当にどういうことなんだろうか……。
「ウェルカ、初めての授業はどうだったの?」
「そう、ですね。
全身がなかなかいたいです」
「今日は何をしたのかしら?」
「午前は勉強の方で、初めにやったテストはほとんど解けませんでした。
でも、理解力が優れていると褒めてもらえました。
午後はマナーの授業だったのですが、ひたすらカーテシーの練習を……」
そういうと、ああ、とお姉様が苦笑いをする。その顔だと、お姉様も苦労したようですね。
「だから全身が痛いのね。
あれは慣れてしまうと、きっとそれほど大変ではないから頑張って」
「お姉様は何をしていたのですか?」
「なかなか説明は難しいのですけど……。
今度お茶会をすることになったから、その準備かしら?」
「お茶会、ですか?」
「ええ。
今回は王宮の庭園の一つをお借りして、そこで私名義で行うの。
開催するのは初めてだから準備にも手間取ってしまうし、これが結構大変なのよ。
そうね、ウェルカが初めてお茶会に参加するのは学園の入学直前じゃないかしら」
確かにお茶会というものを知ってはいるけれど、実際に行ったことはないかな。それにしても、初めてのお茶会は決まっているのね。でも、なんとなく憂鬱だな。同年代の子と言えば、義妹のアンティーナくらいだからかもしれないけど。
「まあ、アンティーナはその前にお茶会に顔を出そうとしているようですけど。
……さあ、冷めないうちに食べましょうか」
なんだか、初めにぼそりと言っていた気もするけどここは気にしない方向でいこう。話している間に準備されていた料理に目を向けるととてもおいしそうだ。はい、と返事をするとさっそく料理に手を出した。
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