その矢を背負って
隅田 天美
その矢を背負って
「はじめまして。よろしくお願いします」
(ああ、また、何か悪口を言われるのだろうか?)
「……私の名前は隅田天美です。生年月日は……」
(心無い言葉の矢を私は後ろから射られるのだろうか?
いじめっ子たちから何度も何度も酷い言葉を刺されたよな)
「趣味ですか?……いえ、色々ありまして、これッと言えない……多趣味というか目移りしやすい性格でして……」
(親や教師からも言われたなぁ「愛の鞭」なんて言って……「太っているから虐められる」「すごく迷惑」で、泣き出すと暴力を振るう。
まあ、そういう人間なんだろうね。私は……
それがさ、障害だと分った時の手のひら返しは見事だったなぁ)
「……『自分の障害を説明する』ですか? 私は主にPTSDに伴ううつ病を……」
(いや、違う。本当は愛されたい、認められたい。でも、それは甘えで殺される。甘えている奴が何をやった? 殺人、戦争、核兵器……そんな人間になりたくない!! 価値のない私が価値のある人間になるには世界の価値観を百八十度変える必要性があるんだ!!)
「『そうには見えない』? ありがとうございます……」
(その為には私が完璧じゃないといけない。甘えちゃいけない。全てをパーフェクトにして私を虐める奴らを復讐するんだ!!)
「……考慮していただきたい点は……」
(でも、疲れた。でも、殺されたくない……そういや、一番突き刺さった言葉があったな)
「『周りの人間からどう言われているか?』ですか?」
(ああ、あの言葉を言おう)
「『だから、お前は誰からも愛されないんだ』」
その矢を背負って 隅田 天美 @sumida-amami
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