怖い話

@siki0430

第1話 きっかけ

きっかけは本当に、些細なことだった。


ー1週間前ー


「ねえ。これ知ってる?見たら一週間後にコイツが迎えに来るんだって。」


友達の香奈が私にケータイの画面に映された、いやに恐怖心を煽る画像を見せながら言った。

彼女はオカルト好きで、この手の話が大好物だ。

スマホなんてものを持ち始めてからは更に拍車がかかっている。

なんでもちょっと調べれば何万件もの話が出てくるとかいってよく私に見せてくる。

でも最近はあらかた調べ尽くしてしまったため、新しい恐怖体験がないか身内に聞き回るほどらしい。


もはや病的だ。


「やめてよ。馬鹿らしい。」


私はこの手の話は信じていない。

というかこんなグロテスクな写真を作る人の気が知れない。


画面には相変わらず写真が映されている。

本当に悪趣味だ。

目があるはずの場所が真っ黒にくぼみ、頬は痩けて青白く、そのくせ口元は真っ赤。

ニタリと笑っている。

目は見えないのに視線が絡み合っているようでゾクリとした。


「冷たいなー。いっつもそうやって……」


彼女はまだぶつくさと私に対する文句を言う。


「なにそれ?怖っ」


そう言ったのは、成績優秀スポーツ万能……とは程遠いが何故か人気のある男子、颯太だった。

彼のことを好きな女子は多いとか。

なんて言ってみても私もその一人である。


「そ、颯太くん!これ怖いよね。誰がこんなの作るんだろうね。」


少しでも気を引きたい私は、あえて返事が来るような言い方をした。

香奈が物言いたげな顔でこっちを見ているが無視しておこう。


「ぜってーやばいやつだよな。俺ならつくってる傍から漏らしそう。」


「やめてよきたないなぁ。」


やった。今日も話せた。

私には一日一回颯太くんと話すという目標がある。


「でも俺こういう話結構好きだよ。なんかあったらまた教えてよ。とびきり怖いの。」


と言った。

香奈は


「もっちろん。」


と意気揚々と言った。


「あ、でも俺も結構調べたからなー。なんか新しいの期待しとくわ。」


うん。

そう言いたかったが私はよく知らない。



翌日、香奈は本当にたくさんの画像を用意してきた。

香奈自身は颯太くんのことを好きな訳ではないようだが、オカルトを語れる仲間と認識したようで懐いている。


「うわっこれ怖いな。」


「でしょ!でもこっちはこんな話もあってね…」


おかげで私は置いてけぼりだ。

なんとか話しに入ろうとしたが、


『 ああ、それも怖いよな。』


と、相手にもされなかった。

さすがに素人が調べた、一番上に出てきたものは認知済みのようだった。


どうしたら気が引けるだろう。

そう考えた時、私は思いついてしまった。

新しいのが見つからないなら、作ればいいじゃん。

私は人生最大の最悪な思いつきをしてしまった。





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