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 ルシウスが手紙を読み上げると聞いていたレオンは腹を抱えて笑いリアムは片手で顔を覆い項垂れている。


 理不尽だ。


 これはどう考えても理不尽だ。


「一体どんな教え方をしてこんな事になったんだい?」


「普通ですよ。

 本当に普通に教えただけです。」


「じゃあキャロル、試しに俺に同じ様に教えてくれよ!」


 レオンが楽しげに身を乗り出す。


 キャロルは死んだ魚の様な目を向けた。


「…嫌ですよ。

 部屋の中でやったりしたら部屋がびしょ濡れになるじゃないですか。」


「つまんねーなー。」


「キャロル嬢、一体どういう風に教えたんだ?」


「ただ魔力の流れを感じて貰ってウォーターボールを1日持続して出せる様にって課題を出しただけです。」


 キャロルの言葉にレオンがじたばたと足を動かしながら笑う。


「そりゃスパルタだわ!

 聞いた事ねえよそんな教え方!」


「…。」


 キャロルは不貞腐れ始めていた。


 そもそもキャロルは誰かに魔術を教わった事がないのだ。


 そんなキャロルに教師役を押し付けておいて教え方が違うとは言い掛かりに近いのではなかろうか。


 それにキャロルは彩花嬢が魔力量がAだったから1日位は出来ると踏んで宿題を出したのだ。


 きちんと魔力量からも考えてやったのに酷い話ではないだろうか。


「んー。

 キャロルのやりたい事は私は分かるし間違ってるとは思わないよ。

 それを乗り越えれば実際その後はほぼどんな魔術を使うのも簡単になるからね。」


 ルシウスはクスクスと笑いながら頬杖を付いた。


「ただキャロルは自分がなんで天才って言われているかを分かってなかっただけだよ。

 ウォーターボールを丸一日無意識でも出し続けるなんて芸当は筆頭魔術師でもなきゃ出来ないんだ。」


「…でもそれは魔力量さえあれば気合いと根性で何とかなると思います。

 根性が足りんのですよ根性が。」


「まあそこには同意するけど聖女も少し可哀想だよね。

 多分彼女はこの手紙を見る限りキャロルの課題をこなそうとする気合いも根性もあったみたいだし。

 …でも周りがそれを許さないようだね。」


 ルシウスは羊皮紙を丸めて屑籠に投げ入れた。


「…多分聖女はこのままだと遅かれ早かれダメになるだろうね。

 弟は自分が庇護する対象が好きなんだ。

 だから聖女が自分より上に行ったり並んだりする事を好まないだろうから。」


 ルシウスのこの言葉は的中する事になった。

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