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静流の遺跡は石で組まれた遺跡である。
キャロルの身長よりも石1つの方が高い。
資料には何らかの巨大な石像の様な外観となっているとあったが降り積もった砂で何の石像なのかはさっぱり分からない。
入口から中を覗くと1寸の光もなく何の音もしない。
横でゴクリとレオンが唾を飲み込む音が聞こえる。
キャロルもただただ広がっている暗闇に足がすくんてしまった。
ルシウスがカンテラに火を灯しキャロルの手を引き遺跡に足を踏み入れる。
今回はキャロルの魔道具が頼りの為ルシウスとキャロルが前衛、レオンとリアムが馬を連れながら後衛と決まったのである。
慌てて魔道具の水晶に魔力を込めると地図が現れる。
しかしこの階にそれらしき道は表示されていない。
「…この階には何もないみたいです。」
「そう?
じゃあ魔物は?」
「いないみたいですね。」
「そっか。
じゃあこの階は素通りしよう。」
ルシウスの言葉に3人は頷き地図に書いてある階段があるらしき場所に向かう。
カンテラの灯りで見えた壁には至る所に古代の壁画や文字が彫り込まれていた。
そりゃ学者が虜になると言われるだけ事はある。
キャロルも目的が龍でさえなければずっとこの壁画を眺めていたい位だ。
レオンとリアムも照らされた壁に釘付けになっている。
4人は螺旋状になっている階段を下る。
地面が土から石に変わった。
足音がやけに響く気がする。
しかしこの遺跡は一体何なんだろうか。
一応ダンジョン扱いの筈なのにこの神聖な凍るような空気は何なのだ。
「…なんかさ教会とか墓場みたいじゃね?」
レオンの小さな声が石壁に反響して響く。
「確かに。
まるで地獄にでも降りている気分だね。」
ルシウスの言葉がやけにしっくりと胸に落ちる。
死者の国に行く道とはきっとこんな感じなんだろう。
きっと自分の足音しか聞こえない静寂に包まれた暗闇なのだ。
2階にも何の反応もなく階段を降りる。
やはり3階にも何も無い。
そもそもダンジョン扱いなのに魔物の影もないとはどういう事なのだ。
色々とおかしい。
「元々ここにいた魔物は150年前に姿を消してしまったみたいだよ。
だから冒険者カードも当時のブロンズランク以上という入場規制を外すかずっと会議になってるらしいんだ。
ただ昔から龍が住んでるって伝承自体はあったからもしもを考えて変更出来なかったみたいだね。」
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