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4階に降りる階段に辿り着くと広々とした空間になっていた。
真ん中に祭壇のような石造りの台座がある以外何もない。
もしかしたら土地と共にこの遺跡も死んでしまったのだろうか。
「さっまだお昼ご飯も食べていないしここで食事にしようか。」
ルシウスが床にカンテラを置きしゃがみ込み背負っていたカバンから食材を出し始める。
リアムも馬に括りつけていた鞄から太い枝の様な丸めた紙とも言えない様な物を取り出し焚き火の準備を始めていた。
「…何ですかそれ?」
「あーこれは紙を濡らして丸めて圧縮して乾かした物って言えば良いか?
薪代わりになる上に軽いんだ。
キャロ、火を着けてくれるか?」
キャロルは頷き魔術で火を点ける。
確かにこの遺跡の中では、というよりバヌツスに入ってからは薪など手に入るまい。
紙が薪代わりになるとは驚きであるが。
キャロルが火を点けるとルシウスが石を運んで来て簡易的なコンロを作る。
網を載せるとその隅にフライパンを乗せ暫く待つ。
なんだかバターの良い匂いがする。
「ふおー。
これ良い匂いだな。
何なんだ?」
「パンだよ。
もう少し焼き上がるまで待ってね。」
「そんなに早くパンって焼けるのか?!」
「なわけないだろう?
船から降りる前に昼用の生地を発酵させ始めておいたんだよ。」
やはり奴等は旅慣れている。
普通船を降りる前にパン生地を捏ねようとは誰も思うまい。
半刻程経つと反対側にフライパンをもう1つ置き卵とベーコンを焼き始める。
フライパンとフライパンの間には片手鍋が置かれ玉ねぎのスープが香ばしい匂いでキャロルを誘っていた。
お腹の音が酷く鳴り響く。
ルシウスがそれを聞き頬を緩めた。
「後少しだから待ってね?」
「…分かってます。」
恥ずかしくて俯いたキャロルの前でルシウスがフライパンの蓋を開けこんがりと焼けたパンをケーキの様に切り分ける。
その内の1切れをまた真ん中で切り分けバターとトマトソースを塗る。
切り分けた真ん中にトマトと今にも食べてと言わんばかりの塩梅で焼けたベーコンと目玉焼きを挟む。
最後に鉄串でチーズを炙っていたリアムが目玉焼きの上にトロトロとチーズを溶かし上に大葉を載せれば完成である。
渡された瞬間キャロルは大きく口を開いてかぶりついた。
トマトと目玉焼きの黄身と溶けたチーズが一気に流れ込んでくる。
後から追ってくる肉汁と大葉とバターの香り。
思わず頬を押さえてしまう。
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