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「ワインスト嬢、婚約者に決まった事だし私の側近を紹介しておくね。」
「…了承した覚えはありませんが。」
殺気を感じるようなキャロルの言葉をサラッと無視してルシウスは続ける。
「こっちのさっきから笑い転げてるのが宰相の子息で次期宰相のレオン・ベイリー。」
キャロルは床に転がっている少年に目をやる。
ガーネットのような赤髪に少し垂れ目の茶色い瞳の少年である。
笑い過ぎて表情が崩壊しているがルシウス程ではないにしろ整った顔をしている。
女性にはかなりモテるであろう甘い優し気な顔。
「はー笑った笑った。
この前も会ったけどレオン・ベイリーだ。
同い年だしよろしく頼むなワインスト嬢。」
「はぁ…。」
「そしてこっちの放心状態のまま固まってるのがリアム・ハワード。
第1騎士団の副団長をしているんだ。
私達より4つ程歳上だから何かあったら頼るといい。」
柔らかそうな栗色の髪にミルクティー色の瞳。
190cmはありそうな長身とガッシリとした体。
放心状態のはずなのにキリッとした表情をしていてなかなか器用な人間である。
「はっ初めまして。
第1騎士団副団長のリアム・ハワードです。
以後お見知り置きを。」
「…。」
側近は顔が良くないとなれないという決まりでもあるのだろうかとキャロルは遠い目をしながら考えていた。
現実逃避である。
「というわけで、仲良くやっていこうねワインスト嬢?」
ルシウスに微笑みかけられるが全力でシカトしている。
しかしルシウスも負けてはいない。
先程気がついたのだ。
キャロルがルシウスが微笑む度に眉間のシワが一瞬深くなる事に。
良くも悪くもこの反応の薄い少女の表情が変わるのだ。
利用しない手はない。
ルシウスは立ち上がるとキャロルの前にしゃがみキャロルと目線を無理やり合わせた。
「よろしくね?」
その神々しいまでの微笑みを至近距離で見たキャロルの眉間には深すぎるシワが刻まれたのだった。
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