いい方法は…?

「それで?御神楽慧架、見学するの?それともそのまま帰る?」


 ホロウさんが御神楽さんに問いかける。

 御神楽さんは見学すると答えた。


「誰を見学するの?」

「うーん…まずは千染、かなぁ?一応ぼくの代わりに行くわけだから、どれだけの実力とセンスがあるのか見ておきたい。次は叶波。なんか行き詰っているっぽい感じだし、なにかアドバイスできたらなって」


 行き詰っているの…やっぱり悟られてたんだ…。

 それでも強い人の意見を聞けるのはとても助かる。

 一方千染さん。

 一番に名前を呼ばれたので張り切っていた。

 こんな彼を見るのは初めてだ。


「必ずや…必ずや慧架様のお役に立ててみせますので!」

「役に立ってもらわなきゃ困る…かな。あと、ぼくが見てるからって理由で集中力が散漫するのとかやめてね?」

「はい!」


 千染さんはめちゃくちゃ大きい声で返事をした。


「…これでみんなにもこんなに素直だったらいいんだけどなぁ」


 と御神楽さんが小さくつぶやくのが聞こえた。


「恋は盲目とはこういうことをいうのですね…」

「千染にぃは慧架ねぇに恋をしているの?…たしかに慧架ねぇ、美人さんだもんねぇ…」

「あれは恋っていうよりか『崇拝』に近いような気がするかなぁ」


 私がそういうとマメシバくんはきょとんとする。


「崇拝?」

「なんて言ったらいいんだろう…。御神楽さん過激オタク?」


 と私がいうと優紗と穂村さんは「ブフッ!」と吹き出した。

 マメシバくんの方は「なる…ほど…?」と納得したようだ。


「清本、お前結構言うようになったなぁ。でもまあ、的確に表現はできてると思う」

「過激すぎてこちら側に支障ができては困りますわ。御神楽さんにははしっかり言い聞かせにてくださいと伝えておかなくては」

「言い聞かせられるかどうかはわかんないけど、いい方法があるよ!」


 というマメシバくん。


「いい方法?どういったもので?」

「慧架ねぇには申し訳ないけど、隠し撮りした写真をダシにする…『お宝写真作戦』!」

「おまっ…!いつからそんなゲスいこと考えるようになったんだよ…」

 

 穂村さんはマメシバくんの発言にショックをうける。


「僕がホロウに伝えておけばやってくれると思う。ホロウもその方が効率が良くなりそうって考えるはずだから…」


 とマメシバくんは何もないところからモニターを出現させる。

 そしてそこに何やら暗号を打ち込み、その内容を送信した。

 送信された先はどうやらホロウさんのようだ。

 受信されたようでホロウさんの左目がピピっと光る。

 ホロウさんはマメシバくんの方を見て、こくりとうなずいた。

 たぶん『お宝写真作戦』の内容を送ったんだな、ホロウさんもちょっと悪そうな顔をしてるもの。

 一方御神楽さんの方はというと、なにか悪い気を察したのか身震いをし始める。

 何も気づいていない千染さんは御神楽さんの体調を心配した。


「慧架様!この空間、寒いのですか!?おい、そこのAI!ここの空調b管理はどうなっているのだ!慧架様が凍えてらっしゃるではないか!」

「ここの空調はみんながいつも快適になれるように設定してあるから大丈夫よ」


 とホロウさんは冷静に答える。


「いや、ぼくは寒くて震えたんじゃないよ。なんか…こう…嫌な予感がして…。ぼくの考えすぎだといいんだけど…」


 御神楽さん、勘が鋭い…。

 その考え、正解です…。

 でも、これも千染さんがしっかりと作戦協力に真剣になってもらうため…。

 本当、本当…ごめんなさい!

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