前のエピソード――届けたい思い

　というところで私は目が覚めた。

　この前は夢の内容をすぐに言えなかったから今回はすぐにみんなに伝えよう。

　幸い、今日はちーなとはっちゃんとの約束がない。

　なので、私はホロウさんに連絡を取る。

『また夢の中で雪菜さんの精神データと接触しました。重要な情報を得たのでそちらに向かいます』

　私はそのような内容をホロウさんに送る。

　するとすぐに聞かせてほしいという返事が来た。

　そして『あの部屋』へと行くことに。

「おはよう」

　ホロウさんは私に挨拶をしてくれたので私も挨拶を返した。

「さっそくだけど…夢の中での内容を教えてくれないかしら？」

　ホロウさんが言うので私はいくつか要点をまとめる。

　一つ、雪菜さんの死因である交通事故が皿木によって仕組まれたということ。

　二つ、雪菜さんが殺された原因は皿木の本来の計画を雪菜さんが知ってしまったから。

　その本来の目的というのは『カミキエンタープライズ』を乗っ取り、やがてはこの国を乗っ取るというもの。

　次に『稲荷・雅』について。

　やはり『稲荷・雅』は雪菜さんのアバターだった。

　御神楽さんに託した理由は御神楽さんを守るためというのもあるけど、皿木に殺されてしまった無念を『稲荷・雅』と共に晴らしてほしかったからというものだ。

　御神楽さんの記憶喪失の原因となった事故も皿木が『御雅楽教』と手を組んで仕組んだことだということをホロウさんに伝える。

「そして最後に神木刹那さんと雪菜さんのお兄さん、羽賀悠我さんを助けてほしいって言ってました。たぶんだけど、どこかに監禁されているだろうって…」

「…話してくれてありがとう。『御神楽慧架を利用した羽賀雪菜の疑似的復活』が目的だと思っていたけど…それが本来の目的を隠すためのダミーだったってわけね。…してやられたわ。これからの私たちの行動は監禁されている神木刹那と羽賀悠我の救出、そして変わらず皿木豊羅の目的を打ち砕くのが最終目的になる。このことを残りのメンバーにも伝えましょう。…私の方からも話したいことがあるしね」

「…？はい、よろしくお願いします」