次はいつ?

「そういえばさ、思ったんだけど…」


 御神楽さんはホロウさんにそう言いかける。


「なに?」

「次の潜入先ってどんなところなのかな~?って思ってさ。もう分かってたりする?前々から予測はついてる、みたいなこと言ってたじゃん?」

「ああ、そうだったわね。つぎの場所は、『せせらぎ高等学校』。芸能学科があることで有名な場所ね」

 

 せせらぎ高等学校…その名前はそこの地元民ではない私でも聞いたことがある。

 高校生でありながらプロの芸能人が多く通っている都会にある高校だ。

 私の最近好きなネット中心で活動している歌手もそこに通学してるって言ってたな。

 

「有名人に会えるかもってわくわくしているところ申し訳ないけど、そんな余裕はないからね」


 とホロウさんはそう言った。

 それに私はドキッとしてしまう。

 ちょっと夢見てしまったけど、そんな余裕はないことくらいは分かっている。

 

「しかし、あの学校は有名人がたくさんいらっしゃいますわ。それ相応のセキュリティがあるのでは?堂々と潜入するのは難しいかと…。しかも以前、昼間じゃないと潜入ができない特殊な環境だと仰っていましたけれど?」


 と優紗がホロウさんに質問する。


「そうね、普通に入っていくのならば難しいわ。。だけど、この日であれば昼間に潜入することは可能よ」


 とホロウさんはモニターにとあるポスターの写真を写す。

 そこには『せせらぎ高校文化祭』と記されていた。

 一日目、二日目は関係者のみの参加、三日目は一般参加と書いてある。

 時期は夏休みが終わった2週間後だ。


「つまり私たちはこの文化祭三日目に潜入していく…ってこと?」

「そう、この機会を逃してしまえばここに潜入するのはかなり厳しくなる。だからこうして一番怪しまれない時期を模索してたのよ。あまり一般公開もされないばしょだし」

「まあ…セキュリティがガバガバすぎると、マナーのなっていないファンとか悪質な記者とかがどんどん来やすくなっちゃうからね…。芸能科じゃない一般生徒もいるのに迷惑被る」


 と御神楽さんが言う。

 御神楽さんのその言葉には妙に説得力があった。

 御神楽さんは芸能人ではなかったにしろ…いろいろ特殊な環境で育った身だからだろうか。


「潜入できたとしても、一般参加者として学園内をうろつくのは危ないのでは?」


 と千染さんが言う。


「特に穂村炎真ことかの『焔竜』が不用意に学校内をうろついているなんて知れたら…」


 穂村さんに対しやれやれ…と千染さんは鼻で笑う。

 

「いやなんで俺限定で言うんだよ。そんな事言ってしまえば桜宮だってそうだろ?俺とは別の意味で顔が知れてることだろうし」


と穂村さんは言う。

たしかに優紗は桜宮財閥の1人娘だからそういった意味では顔を知られている存在だ。

迂闊に行動するとなれば色々と問題になるかもしれない。


「そうね、穂村炎真と桜宮・E・優紗は何かと目立つ存在だから…。ああごめんなさい?悪い意味ではないのよ?それにこの私がなんの考えもなしに潜入にいけと言うと思う?偽造するのよ、手筈は打ってあるわ」


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